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2020年11月10日

コロナ感染の動向と日本

日本ではコロナ感染の第二波に直面しており、毎日平均約500人の感染者が発生しています。世界全体では毎日三十数万人の感染者が発生しております。現時点では日本も世界も感染者数の減少傾向は見られません。
今回は、コロナの感染者数の推移を確認しながら、コロナに関して欧米とアジアの死亡者数の違いや、これから日本で強化されるコロナ検査について述べます。

コロナの感染状況

日本におけるコロナ感染者数(陽性者数)の日々の推移を下図に示します。第一波のピークは本年4月中旬頃でした。その後日々の感染者は減少しましたが、第二波が起こり、7月下旬から8月上旬頃にピークを迎えて、その後は減少しました。しかし、9月以降現在まで、1日平均約500人の感染者の発生が続いており、終息の兆しは見えません。
なお、図のグラフは見ようによっては、現時点では右肩上がりで感染者数は徐々に増加しているようにも見えます。懸念されている第三波が来ることになるかもしれません。

図 日本のコロナ感染者数の推移 (厚生労働省) 図 日本のコロナ感染者数の推移 (厚生労働省)

世界におけるコロナ感染者数は本年7月下旬頃まで増加し、その後は横ばいに転じました。しかし、欧米をコロナの第二波が襲い10月上旬頃から感染者数がまた増加に転じました。現在、世界全体では1日平均約35万人前後の感染者が発生しております。
日本および世界において、このような状態は今後も長く続くのか、それとも近い内に終息するのかは現時点では予測がつきません。コロナの終息にはワクチンの開発を待たなければならないとも言われています。通常ですとワクチンの開発には数年の年月を要し、容易ではありません。しかし、世界人類のコロナの克服のために有効なワクチンが早期に開発されることを期待いたします。

日本におけるコロナ死亡率が低い理由

コロナは昨年12月以降に中国湖北省武漢市を中心に発生したと言われています。もう発生から1年近くになります。コロナはいまだに不明な点が多いですが、日本も含めてアジア、オセアニアの地域の国々では、ヨーロッパや南北アメリカと比較してコロナによる死亡率が低いと言われています。その理由は何なのかを考えてみます。
まず、いくつかの国の人口100万人あたりのコロナによる死亡者数について、本年7月28日の時点での数値は下記の通りです。なお、コロナによる死亡について国際的にも国内的にも統一した基準はないようです。基礎疾患を持つ方がコロナ罹患して亡くなった場合に死因を何にするかの判断は難しいことと思われます。

  • ヨーロッパ・アメリカ地域: 英国=674、フランス=463、米国=447、ブラジル=412
    アジア・オセアニア地域: 日本=8、オーストラリア=6、中国=3、台湾=0.3

日本などにおけるコロナ死亡率が低い理由は、まだはっきりした事は不明ですが、考えられる理由を、日本を中心にいくつか挙げてみます。

  1. 文化的要因としては、マスクをよく付ける、ハグをしない、日常生活において非常に衛生的であることなどが考えられます。
  2. コロナ対策や社会的要因としては、徹底したクラスター追跡を行っている、人口当たりのCTやECMOの充実は世界のトップクラスであるなどが上げられます。
  3. 遺伝的・生物学的要因として、抗体保有率高いやBCG接種率が高いなどが考えられます。

以上のような事柄が考えらえますが、現時点では原因を見つけ出すことは難しいです。いずれその原因が解明されることと思います。

コロナ検査の充実について

インフルエンザとコロナは同様の症状がありますが、冬を迎えるにあたり両者を区別するためには検査体制の拡充が必要です。日本政府はコロナの感染の有無を判定する抗原検査キットを1日20万件分用意する計画です。これからはコロナ検査を体験する機会が増えることになります。コロナの検査には主な方法として、PCR検査、抗原検査、抗体検査の三つの方法があります。これらの検査方法の特徴は次の通りです。

PCR検査はウイルスの遺伝子配列を増幅して検出します。現在感染しているかを調べる方法で、検体は鼻の奥などの粘膜です。検査には6時間程度を要します。PCR検査は比較的精度は高い方法と言われていますが、それでも感染者の約30%が陰性と出てしまい、感染していない人の約1%が陽性と出てしまいます。

抗原は病原性のウイルスなどの生体に免疫応答を引き起こす物質です。抗原検査は、病原性のウイルスなどに感染した細胞が特異的に産生する抗原を検知して診断に導く検査のことを言います。PCR検査と同様に現在感染しているかを調べる方法です。検体は鼻の奥などの粘膜です。精度はPCR検査より劣りますが、所要時間は15~30分です。

抗体は、特定の異物にある抗原に特異的に結合して、その異物を生体内から除去する分子です。抗体検査は感染後に体内にできる抗体のタンパク質を検出し、過去に感染していたか調べる検査で、検体は血液です。検査の精度は定まっていませんが、検査の所要時間は数十分です。

なお、唾液を用いたPCR検査や抗原検査することも可能です。ただ、消化酵素により、感度が低下することが指摘されており、飲食前に採取することが望まれます。また、ウイルスの物理的除去を避けるため、採取前に歯磨きやうがい、飲食を行わないことが望まれます。

コロナに冷静かつ的確に備える

コロナの感染者数は一向に減少の兆しが見えません。コロナが発生してもうすぐ1年になろうとしています。コロナについて経験的にいくつかの事が分かって来ましたが、これからもコロナに関する現状や情報を的確に把握することが大切です。コロナの終息・克服は長い道のりになるかもしれませんが、社会・経済活動をしっかりと行いつつ、冷静に対処していくことが必要です。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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