2017年09月15日

教え方がうまい人

   これまで皆さんは、人生の中で多くの師に仕えたことでしょう。親、学校の先生、スポーツのコーチ、そして社会に出てからは先輩、上司…。人からものを教わる機会はたくさんありますが、その中でも「あの人は教え方がうまかった」と思い出せる人が何人かはいるのではないでしょうか。今回はそんな「教え方がうまい人」の特徴をあぶりだしてみましょう。

oshiekata

自分にもできそう!と思わせてくれる

    じつはここが一番大切なのです。頭の良い人が陥りがちなのは、言葉ばっかり難しくて抽象的すぎること。自分で勝手に消化してしまいエッセンスだけを抜き出して話してしまうので、聞いているほうはさっぱりイメージが湧きません。またスポーツでよくあることですが、プレイヤーとして優秀でも、教えることが下手な人。天才肌な人は自分で苦しんだ経験がないので、どこにつまずくかが見えないのです。
   教え方のうまい人の説明は、聞いていて「なるほど、そうやればいいのか。僕にもできそうだな」と思えます。たとえば洋服店の接客術で「相手の嗜好をうまく聞き出すことが大事なんだよ」と言われても、それが大事なのはわかっても、どうやっていいのかがわかりません。それをたとえば「お客様からのヒアリングは、縦軸と横軸で考えればいいよね。横軸はいろいろな項目、たとえば好きな色とかデザインとか、縦軸は内容の深堀り。なぜその色が好きなのかとか、そのデザインと合わせるバックを持っているのかとか。そうやって考えるとお客様の情報を網羅的に聞き出せるよね」と言われると、なんとなくできそうな気がしませんか?それは頭の中にパッと縦軸横軸が描かれ、それを使って質問している自分がイメージできるからです。このような伝え方、元々できている人もいますが、私を含め多くの人にとっては、意識して話さないと難しいこと。でもとても重要なスキルなのでぜひ身につけましょう。

相手により対応を変えている

   名監督と言われる方々のインタビューを聞くと、皆さん同じことを言いわれます。マラソンの小出監督(有森裕子さんや高橋尚子さん)、水泳の平井伯昌コーチ(北島康介さん、中村礼子さん)しかり。最近では箱根駅伝でおなじみの青山学院大学陸上部の原晋監督もそうです。原監督は、試合に勝って天狗になる選手には、天狗にならせておいたほうが伸びるとし、伸びどころを見計らって「ここまできたら、東京オリンピックもチャンスがあるぞ」と声をかける。そうすることで、学生は次のステージに向かってまたチャレンジするといいます。一方、力はあるが緊張がちで、実力を出せない選手には「それでおまえ、AKBの誰が好きなのよ」とかたわいのない会話で、相手の緊張をほぐしたりするそうです。ビジネスの現場でも、相手によって、夢やビジョン、情熱で動いてくれる人と、きちんとした理論とデータで動いてくれる人もいます。教える前に人を良く見る、というのはどの世界でも共通なスキルと言えるでしょう。

相手の自主性を尊重している

   教える側に立つと、相手が中途半端にできているとややこしいので、一から十まで自分のやり方を押し付けようとしてしまいがちです。しかし、それでは相手がやる気を失ってしまいます。よほどプロセスに厳密さが求められる作業は別ですが、おおむね同様の結果が得られるのであれば、途中のやり方(できている部分)は相手を尊重し、最後の出来栄えを見て、そこでフィードバックをすればよいのです。人は自分の自主性が活かされると、進んでものごとをやろうとします。ですので、できていない部分に少し手を加えてあげるようなさじ加減でちょうどよいはずです。

   教えるにあたり、もちろんその作業の意味を伝えるとか、全体の中のこの仕事の位置づけを知らせる、また教えっぱなしにせずに定期的にフォローすることも大事です。しかし、最も基本かつ重要なこと3つを挙げろと言われると、やはりこの三点かと思うのです。相手が頭の中にイメージを描き、モヤモヤがスッキリすると、顔がぱっと晴れるのがわかりますよね。そうした瞬間に立ち会えることが教える側冥利に尽きるのでは。ぜひあなたの教え方スキルをこれからも磨いていってください。

 次回は「教わる側の心構え」についてお伝えします。どうぞお楽しみに。