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2025年07月15日

仕事の教え方

第4回「仕事の教え方」

皆さんの職場では若手社員にどのように仕事を教えていますか。今回は令和における仕事の教え方についてお話します。どうしても自分が教わったやり方にとらわれている方が多いようですが、いまの若者たちにはそのやり方では太刀打ちできません。ここでも気を付けたいことは、やはり昭和の慣習が染みついている人は考え方を一度ゼロにする必要がありそうです。

NGな教え方3パターン

  1. 「まずはとりあえずやってみ」
    かつて昭和の時代先輩によくこう言われた覚えがありませんか?これは「人は失敗からこそ学ぶ」という考え方が元になっているようです。やり方もわからずにやるわけですから必ず失敗します。そこでほくそ笑んだ先輩がもったいぶって「そらうまくいかないだろ?それはさ、こうやるんだよ」と先輩風を吹かせてもっともらしく教え始める。それをみて素直な後輩は「あーなるほど!」と(笑)。
    でも残念ながら今の時代ではこれはうまくいきません。なぜなら、いまの人たちは失敗したくないのです。自分がミスすることを極端に恐れます。なので「最初から失敗するのがわかってるのになぜやらなくちゃいけないんだ」と心の中で思うでしょう。
  2. 「背中を見て覚えろ」
    私もこうして育てられましたが、いまこれをやると「あの上司は何も教えてくれない」との噂が立ち、あなたは不適格な上司として人事部に呼ばれることになるでしょう。このスタイルももはや通用しません。(もちろん、それで食らいついてくる根性のある若者もいるとは思いますが多くはありません)。
  3. OJT
    OJTとはオン・ザ・ジョブ・トレーニングの略ですが、よほどの大企業かあるいは育成に力を注ぐ余裕のある企業をのぞいては、OJT=無策(ほぼ何もしない)の言い換えであると思っています。もちろん日々仕事の都度教えはしますが、体系だって仕事を教えるという努力をしないということです。たとえば、あなたが新年度から上司になり、新人がついたとしましょう。あなたの仕事も新しくなり、責任も増え、自分のことで手一杯のはずです。新人に説明するための資料なんて、パワポ2,3枚作れればいいほうです。そこに何もできない新人が入ってきて、あなたにできることは、とりあえず仕事の流れを説明し、その日に発生した仕事や起きたトラブルを場当たり的に処理し、その合間に「いまのはね、こうやるんだ」と部下に説明をしていくことくらいでしょうか。この「場当たり的」な教え方をOJTと称している企業がほとんどです。このやり方では、いまの若者たちは戸惑うばかりです。

良い教え方3パターン

では、次によい教え方を3つ紹介してみましょう。

  1. デジタル化
    いまの世代はすべて動画でノウハウを学びます。できれば伝えたいスキルやノウハウを動画化し、いつでも見れるようなコンテンツライブラリを作るのが理想でしょう。ただ、どこの企業にいっても、このスキルを持った社員が極めて少ないようです。そうした場合は、アウトソーシングしてでもこうした取り組みを始めるべきですね。またこの方法のよいところは、人同士が合わないといった問題を解消できることです。上司とウマが合わないばかりに辞めていく新人も、こうしたシステムがあれば人の好き嫌いに左右されることなく必要なスキルを体得できるはずです。

  2. 体系化
    令和世代の若者は、ただの思い付きや場当たり的な指導を嫌い、体系的な指導を求めています。でもむしろこちらのほうが正論のように思います。昭和の時代はそんなことをする上司は稀有でしたが、本来なら、仕事を体系的に分析し、その枠組みにのっ
    とって教えるのが筋だと思います。そのためには、やはり上司がまずは自分の仕事を分析して体系化し、わかりやすく伝える準備が必要なのです。
  3. 成功体験の積み重ね
    昭和の時代のように「まずはやらせる」ことは大事ですが、そのやらせ方に一工夫必要です。基本にある考えは失敗から学ばせることではなく、成功から学ばせることです。それには最初はある程度上司がレールを引き、それに乗って走れるようにサポートすることです。車の仮免許運転のように、横に上司が座ってアドバイスし、そうしてひとつうまくいったら「良しその調子!いいねえ」とほめることを忘れずに。小さな成功体験を重ね、自信をつけさせましょう。

教え方というのは、個人のスキルに依存することが多く、そのため部下の育成も上司次第、という会社が多いようですが、デジタル化することで人に依存することがなくなり、より効率的に教育をしていくことができるはずです。せっかく入社してくれた有望な若者を逃さないためにも、組織として教育の体系化、デジタル化は喫緊の課題であることは間違いありません。

 

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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