目次
初めて講演の司会を任されたものの、どのように講師を紹介すればいいかわからない。そんな方に向けてセミナー・講演会での講師紹介の例文を4つ紹介します。さらに講師紹介文の書き方や記載すべき項目など、数々の司会経験があるプロ監修のもとポイントを解説していきます。司会のプロからのアドバイスもあるので、ぜひお役立てください。
本記事の監修者
牛窪万里子(うしくぼまりこ)/元NHKキャスター
NHKキャスターを経て、現在NHKラジオ深夜便インタビュアー。(株)メリディアンプロモーション代表取締役、コミュニケーションアドバイザー。NHK「おはよう日本」、「首都圏ネットワーク」などに出演し、これまでのインタビュー歴は著名人を含め、5000人以上。コミュニケーションをテーマに自身の講演や司会の経験も豊富。ビジネス書など著書6冊。
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この記事でわかること
- セミナー・講演会での講師紹介の例文
- 講師紹介の主な項目と構成
- その他のポイントや注意点
上記のポイントを押さえることで司会未経験の方でも講師紹介文が作れます。最後までご覧ください。
セミナー・講演会での講師紹介の例文
まずは実際のセミナー・講演会で使われた講師の紹介文を4つ公開します。
- 鈴木政次氏(経営者)
- 宮崎哲弥氏(評論家)
- パックンマックン(芸能人)
- 宮本慎也氏(スポーツ)
弊社の司会者が作成した実際の台本画像、紹介文、紹介文の構成の解説をしますので、ご自身で作成するときに参考にしてください。
※紹介文は過去の講演時の講師の情報です。
【経営者】鈴木政次氏の講師紹介の例文
実際の台本画像
本件はオンラインで開催しました。
鈴木政次氏の講師紹介の台本は、GoogleドキュメントやマイクロソフトWordに紹介文を書き連ねた比較的シンプルな事例です。
講師の紹介文(台本画像の文字起こし)
皆様こんばんは、本日進行を務めます、講演依頼ドットコムの土橋です。
本日の講演には“ガリガリ君”の開発者そして育ての親/M.ソリューション代表/赤城乳業株式会社元常務取締役開発本部長の鈴木政次様を講師としてお迎えいたしております。
鈴木様は1946年 茨城県出身。1970年 東京農業大学農学部農芸化学科 卒業後、赤城乳業株式会社に入社。1年目から商品開発部に配属され、愛すべき失敗作を生み出しながらも、「ガリガリ君」、「ガツンとみかん」、「ワッフルコーン」など、数々のヒット商品を生み出されました。商品開発だけでなく、開発営業、原価計算、購買、経営等、人事以外の全ての部門に携わられた実績をお持ちでいらっしゃいます。
2018年3月に赤城乳業監査役を退任後、M.ソリューション代表として講演・執筆などを展開されています。本日は「ガリガリ君誕生秘話~明日からの挑戦にむけて~」と題しまして、ご講演をいただきます。
録音録画・スクリーンショットは禁止となっておりますので、是非リアルタイムでお楽しみください。ただし今回は1週間のアーカイブ配信も予定をしておりますので、講演後は復習を兼ねてそちらもご覧いただければと思います。
70分間の講演会のうち最後の10分程度は質疑の時間も取らせていただきます。
講演中に質問があれば是非チャットに入れていただければと思います。
最後の質疑の際にお時間が許す限り、お答えいただきます。それではお待たせしました。
鈴木様よろしくお願いいたします。
紹介文の構成
- 司会者の自己紹介
- 講師の経歴
- 講演で話すテーマ
- 講演中の注意事項
- 講師の呼び出し
オンライン講演の構成です。注意喚起に関しては、オンラインの場合はパソコンで聴講する方が多く、簡単に録画、録音できてしまいます。そのため、重要な注意は講師呼び出しの直前にするほうが効果が出やすいでしょう。
【評論家】宮崎哲弥氏の講師紹介の例文
実際の台本画像
本件はトークショー形式で開催しました。
宮崎哲弥氏の他にもスピーカーの方がいる複数人のトークショー形式です。講師紹介の台本は、パワーポイントやGoogleスライドを使って作り、「時間」や「発言者」「備考」なども記載しています。
講師の紹介文(台本画像の文字起こし)
みなさん、本日は、御忙しい中ご参加いただきありがとうございます。
トークショーを開催する前に、2点『お願い』をさせていただきます。
1点目は、携帯電話やPHSをお持ちの方は、電源を切るかマナーモードに設定をお願いいたします。2点目は、デジカメやカメラ付き携帯電話での撮影・録音はご遠慮願います。
以上2点よろしくお願いいたします。それでは、定刻になりましたので、ただ今より、宮崎哲弥さんトークショーを開催致します。わたくしは、本日の司会を務めます、●●です。宜しくお願いいたします。
本日は、評論家としてご活躍の宮崎哲弥さんをお迎えし、「宮崎哲弥と仏教の今とこれからを語ろう」と題し、トークショー形式でお送りいたします。
ご存知の方も多くいらっしゃると思いますが、ここで簡単に宮崎さんのプロフィールをご紹介させていただきます。
宮崎哲弥さんは、1962年福岡県のお生まれでいらっしゃいます。慶応義塾大学文学部社会学科卒業後、内閣府経済財政諮問会議専門委員や、総務省「通信・放送の在り方に関する懇談会」構成員を務め、現在は、政治哲学、宗教論、サブカルチャー分析を主軸とした評論活動をテレビ、新聞、雑誌などを通し、活動されております。
それでは、早速、宮崎哲弥さんにご登場いただきましょう。皆さん、盛大な拍手でお迎えください。
紹介文の構成
- 講演中の注意事項(事前アナウンス)
- 司会者の自己紹介
- 講演で話すテーマ
- 講師の経歴
- 講師の呼び出し
トークショー形式の構成です。トークショーの場合は、冒頭で注意事項を伝えるほうがおすすめです。1人で話す講演と違い、2人以上でのトークショーは温まった会場の雰囲気を継続させることが重要なため、講師の経歴を紹介したあと、その流れで呼び出すほうがテンポよくスムーズにトークに入れます。そのように、注意事項をアナウンスする順番は状況に応じて変える必要があります。
【芸能人】パックンマックンの講師紹介の例文
実際の台本画像
本件はご経歴をあえて簡潔にしています。
パックンマックンの講師紹介の台本は、GoogleドキュメントやマイクロソフトWordに進行の方法や紹介文を書いています。
講師の紹介文(台本画像の文字起こし)
本日進行を務めます、講演依頼.comの土橋です。本日の講演には、お笑いコンビのパックンマックンのお二人を講師としてお迎えいたしております。
まずは登壇前の紹介をさせて頂きます。パックンマックンは1997年に共通の知人の紹介で知り合い、結成されました。日米文化をネタにしたお笑いで人気を博し、現在は情報番組や英語にまつわるコーナーをはじめ、テレビやラジオ、イベントで活躍をされていらっしゃいます。2003年にはラスベガスで、2007年にはハリウッドで英語漫才を挑戦し成功を収められた国際派漫才コンビです。
今回のイベントでは、「お金の育て方」と題し、日米のお金の使い方・考え方の違いからの資産形成の考えについてお話していただきます。
録音録画や写真撮影、オンライン参加者のスクリーンショットは禁止となっておりますので、是非リアルタイムでお楽しみください。
ディスカッション形式で進めていきますが、最後の10分程度は質問の時間をお取りしております。それではお待たせしました、パックンマックンのお二人ご登壇いただきます。
皆様盛大な拍手でお迎えください。
紹介文の構成
- 司会者の自己紹介
- 講師の経歴
- 講演で話すテーマ
- 講演中の注意事項
- 講師の呼び出し
講師が芸能人などの著名人の場合の構成です。聴講者も経歴をよく知っている人が多いため、5行ほどの簡潔な紹介にまとめるといいでしょう。
【スポーツ】宮本慎也氏の講師紹介の例文
実際の台本画像
本件はご経歴をあえて丁寧にしています。
宮本慎也氏の講師紹介の台本は、GoogleのスプレッドシートやExcelで台本を作り、時間配分や講演でのスタッフの動きなども記しています。
講師の紹介文(台本画像の文字起こし)
それではここから宮本慎也さんのお話に移ります。私は質問役を務めさせていただきます中村と申します。本日は宮本さんに、インタビュー形式でお話をうかがっていきます。
まず簡単に宮本慎也さんのプロフィールをご紹介いたします。
宮本さんは、1970年大阪府生まれ。PL学園高校時代、1987年の第69回全国高等学校野球選手権大会では唯一2年生として決勝戦に出場されました。三塁手として先発出場し全国優勝を果たし、卒業後は同志社大学に進学。関西学生リーグでは、1990年春季のリーグ戦で首位打者を獲得されました。
卒業後はプロの誘いもおありでしたが、社会人野球のプリンスホテルに入社し、その後1995年ドラフト2位でヤクルトスワローズに入団されました。
アテネオリンピック野球日本代表、北京オリンピック野球日本代表ではキャプテンを務められていらっしゃいます。2013年10月に現役引退を表明。
2014年からは野球解説者として活動され、2018年と2019年は東京ヤクルトスワローズの一軍ヘッドコーチとしても活躍されました。
それでは宮本慎也さんにご登場いただきます。宮本さんよろしくお願いいたします。
紹介文の構成
- 司会者の自己紹介
- 講師の経歴
- 講師の呼び出し
講師紹介コメントの分量を多めにした構成です。経歴を多めに紹介したい場合は、講演中の諸注意は講師紹介を始める前などにアナウンスしておくと良いでしょう。
以上の4つが実際の講演で使われた講師紹介の事例です。正解はありませんので、ご自身が進行しやすいものや講師の方との親和性が良さそうなものを選んでください。あとは注意事項の箇所のみ状況に合わせて変えるだけで完結します。
講師紹介の主な項目と構成について
講師紹介の台本を見て大まかなイメージは掴めたと思います。続いては紹介した例文を分解し、講師紹介文の書き方・記載項目を説明していきます。
講師紹介の主な項目として下記の4つで構成すると良いでしょう。
- 開会の挨拶
- 注意点(事前アナウンスの場合や4.の講師呼び込み前の場合もあり)
- 講師の経歴紹介(名前と肩書、略歴、現在の活動、今日のテーマ)
- 講師の呼び込み
開会の挨拶
紹介文の冒頭は開会の挨拶から始めます。来場者・聴講者への御礼と自己紹介を入れます。「務めます」は「務めさせていただきます」と謙譲語で言う場合もありますが、どちらでも構いません。後者のほうが丁寧な印象を与えますが、前後の文との敬語のバランスで考えると良いでしょう。また、「務めさせていただきます」は発音しずらい場合が多く、「務めます」のほうが言いやすいです。例文は次のようになります。
注意点
講演・セミナー中の注意点です。講演によっては司会者が講師紹介を始める前に、場内アナウンスなどで事前に注意喚起をしていることがあります。事前アナウンスの内容は、携帯電話の設定や録音・録画についての禁止事項などが多いです。
事前に注意喚起をしている場合は講師の紹介の際に注意点は言わなくても大丈夫です。もちろん講師紹介の前にもう一度、注意喚起をしても構いません。
講演内容に関わること(例えば写真撮影・録音・録画・質問時間について)などについては、必ず守っていただきたい重要な注意事項になるため、講師を呼び込む直前のほうが頭に残りやすいでしょう。冒頭で伝えると講演が始まったときには注意事項を忘れてしまっている可能性があります。注意点の例文は次のようになります。
講師の経歴紹介
講師の経歴紹介では下記の3つを伝えます。
- 生年・出身地
⇒ただし、生年・出身地は必須ではありません。出身地は講演先の地域とゆかりのある場合などや講演内容に関わる場所である場合は紹介するといいでしょう。個人情報に関わる情報のため、最近は、生年月日や出身地については紹介しないケースも増えてきています。 - 主な略歴・実績
- 現在の活動
3つの構成にすると聴講者の頭にも入りやすいです。
講師の経歴を紹介するときに、著名な方の場合には、下のような前置きを入れても構いません。
講師の呼び込み
最後に講師の呼び込みです。本日の講演テーマを入れると、より丁寧になります。
以上の4つの項目を入れて講師紹介文を作ってください。
その他のポイントや注意点
- 敬称の使い方を意識する
- 講師に紹介文を事前確認してもらう
- Wikipediaの情報は引用しない
- 紹介文は声に出して読んでみる
最後に講師紹介文を作る際のポイントや注意点を4つ紹介します。どれも基本的なことですが、意識して作成してみてください。
敬称の使い方を意識する
紹介文を作成するときに迷うのが敬称の使い方です。一般的に敬称は下記のように使い分けます。
- 名前+役職には敬称は不要
例)〇〇社長(氏、様、さんなど敬称は不要) - 先生をつける職業
・教職(教師や教授)
・士業(弁護士や会計士、社労士など)
・医療従事者
・議員などの政治家
・落語家や芸人の場合は「〇〇師匠」
上記の場合は〇〇先生など敬称を付けましょう。 - 芸能人やタレント、グループやコンビ名には敬称不要
主に芸能活動をしているタレントやグループ名には「さん」などの敬称は不要です。
「ナイツさん」「ロザンさん」など、グループにも敬称はつけません。
講師に紹介文を事前確認してもらう
紹介文を作成し、ご自身で推敲して完成したら、できる限り講師本人もしくはマネジャーや所属事務所などに紹介文を確認してもらいましょう。講師によってはNG表現がある場合や、紹介の仕方などに希望があるかもしれません。講演が終わってから「あの紹介はしてほしくなかった」など悪い印象を持たれないように事前確認をおすすめします。
Wikipediaの情報は引用しない
講師の経歴や出身、実績などを調べる際にWikipediaを活用される方がいます。しかし、Wikipediaは誰でも情報を編集できてしまうため信憑性が薄いです。間違った情報も多いので引用はやめましょう。また、講師のSNSや公式サイトも情報が間違ったまま掲載されている場合があるので注意してください。情報の引用は、必ず書籍や雑誌など、校正・校閲を通している媒体にしましょう。著書や関連書籍がない講師の場合は、必ずご本人に確認しましょう。
紹介文は声に出して読んでみる
紹介文が完成したら、声に出して読んでみましょう。黙読しているときは違和感がなくても、音読してみると読みにくかったり、冗長に感じたりする場合があります。また、声に出すことで誤字や脱字にも気づきやすくなります。
【まとめ】講師紹介文の書き方のポイント
最後までご覧いただきありがとうございます。ここまで解説したポイントを押さえれば初心者の方でも講師紹介文が作れます。冒頭で紹介した例文などを参考に、ご自身で作成してみてください。整理すると、紹介文に記載する内容は下記の4つです。
- 開会の挨拶
- 注意点(状況に応じて冒頭や④の直前になる場合がある)
- 講師の経歴紹介(名前と肩書、略歴、現在の活動、今日のテーマ)
- 講師の呼び込み
講師紹介文を作ったら本人確認を忘れないようにしましょう。ぜひ、良い紹介文を作ってください。
――監修:牛窪万里子(元NHKキャスター)
――企画:講演依頼.com編集部 協力:講演依頼.com営業部
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