2015年01月15日

ピンチがチームをひとつにまとめる

 ふだんまとまりのないチームが、あることをきっかけに急に結束が強まった、という経験がある方は少なくないはずです。上司が急に入院してしまった、仲間がミスをして顧客に損害を出してしまった、発注を間違えて違う商品が大量に届いてしまった...、そんなときに、メンバーが急に活気づき、テキパキと局面を乗り越えていくようなことがよくあります。

 ある石油販売会社さんの例です。とあるガソリンスタンドで、これまでアルバイトだった若者が、急に社員になり、店長に就任するということがありました。それだけでもすごいことですが、店長になってすぐ、会社のある安全基準を満たすための査察が2週間後、その店舗に入ることになりました。

 当然、新人店長だけの力では、この局面を乗り越えることはできません。まさにピンチです。そこで彼は、周りのスタッフやバイトに、なぜこの作業が必要なのかを説いて回り、自分だけではどうにもできないので、協力してほしい旨を伝えました。バイトたちにもその危機感は伝わり、これは何とかしなくてはという思いが共有されました。また通常はあり得ないことだそうですが、この店舗のピンチは近くのスタンドにも伝わり、多店舗の社員も、店が閉まってから応援に訪れ、なんとかその査察を乗り越えられるようにと協力を惜しみませんでした。そんなおかげで、この店舗は無事、査察をパスし、合格することができました。

 この出来事を、チームの発達過程を理論にまとめた、B.W.タックマンの"タックマンモデル"に当てはめて考えると、この店舗は、チーム形成の第二段階、「混乱期」を早く迎えられ、そして皆が一致団結して早めに「統一期」に進むことができたと考えられます。通常のチームは、互いの様子見の「形成期」からなかなか脱出できないなか、この「査察」というイベントがメンバーのお尻に火をつけ、混乱→統一期へと一挙に加速していったのでしょう。

 ピンチは、人に眠っている二つの力を呼び覚ますことができます。1つは、普段眠っている潜在能力。いわゆる火事場の馬鹿力です。そして2つ目は、相手を助けたいという思いやりの精神です。この思いやりの精神ですが、ちょっと条件があります。ふつうなら困っている人に手を差し伸べようと思うはず・・・ですが、ときに不謹慎ながら「ふん、ざまあみろ!」と思うときもありませんか(笑)?助けたいvsざまあみろ、このふたつを分けるものはいったい何でしょうか。それこそが、チームづくりの土壌である「お互いの人間関係」なのです。ふだんからそれがしっかり作られていると、ピンチに際し「助けよう!」となり、それが希薄だと「ふん、知ったことか!」となってしまうのですね。

 ピンチは、チームをひとつにまとめるまさに劇薬のような効果があります。しかしその反面、ふだんからの人間関係がないと、さらに逆効果を生み、チーム存亡の危機にさらされることもあります。ピンチに直面したときの「助け合い」を引き出すには、やはりふだんからの人間関係づくりが大切なのです。

 次回は「チームなんでも相談室」をお送りします。今までいただいた皆様からのチームに関する質問についてお答えしてみたいと思います(匿名にてご紹介させていただきます)。 

 

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