今回は、青年会議所という組織をとりあげてみたいと思います。この組織は、20~40歳の志ある人なら誰でも参加できます。全国各地に○○青年会議所というというまとまりがあり、その調整機関として日本青年会議所がトップにあります。団体は公益社団法人で、利益を追求するものではありません。信条は「修練」「奉仕」「友情」の3つで、よりよい社会づくりのために、ボランティア活動や行政改革等の社会的課題に取り組む、というのが活動の目的です。
私はこれまで、全国各地の青年会議所からお声をかけていただき、講演をさせていただく機会に恵まれましたが、どこにいっても聞こえてくるのが「メンバーが減っている」という声。ですので、今回は、どうすれば今の時代にこの青年会議所のメンバーを増やし、活動を活性化できるか、をちょっと考えてみたいと思います。また同様の信条を抱えた組織、団体の運営にも共通する部分もあると思いますので、ご興味ある方はぜひご一読ください。
外から見た青年会議所
彼らの活動は、自らが地域の課題やテーマを見つけ、それについて企画を立ち上げ、自主的に活動していく、というものです。わかりやすいところでは、2020年度夏にコロナ禍の世の中を元気づけようと実施された「全国一斉花火プロジェクト」。あとは地域の街クリーン活動や、子どもたちの学びのセミナー、キャンプ活動などが活動の一例として挙げられます。また組織内で独自に「人間力向上委員会」なるグループを立ち上げ、そのテーマに合った講師を選定し、セミナーを実施して地域の人々を集めた啓蒙活動を行ったりしています。
メンバーの皆さんはそれなりの年会費を払い、自分の仕事の時間を削って、この青年会議所の活動に参加します。活動の中身を知れば、とても意義があり、やっておいて損のない経験だなと思うのですが、なかなか人が集まらないのはどうしてでしょうか。
もちろん「普段自分の仕事で手一杯なのにそんな余裕はない」というのが一番でしょうが、外野から見ると、せっかくの多くのメリット、活動を通して得られるものというのが、外に向けて明確に提示されていないように見えるのです。そこで、価値メガネを通して見える、私が思う青年会議所の活動のメリットを5つ書いてみたいと思います。
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- 自分を高める場
- 青年会議所に参加されるメンバーの多くは、地元の会社の社長(二代目など)や、個人事業主が多い。この立場の人たちは、仕事に戻れば自分がトップなので、反対意見をぶつけてきたり、注意してくれる人がいない立場です。そんなお山の大将が青年会議所の活動で、一役員としての立場を経験することで、下の気持ちを理解することもあるでしょう。またセミナーの企画事業などを通して、理念の骨子をつくり、委員会メンバーを説得し、講師を選んでその先生に意図を伝え、また地元ではその告知集客活動…これらを通じて、自分の仕事だけでは体験できない多くの場面を経験することができます。
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- ほかの人とのつながり
- 青年会議所活動をすることにより、同じ地域の異業種のメンバーと知り合うことになります。そのつながりが、将来自分の仕事に役立つこともあるでしょうし、何かイベントの企画実施を通して、仕事では繋がれない多くの人と出会うことができます。また仲間から認められることで、自分の承認欲求も満たすことができるはずです。。
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- 普段では得られない視点
- 自分の仕事で会う人たちがほぼ同業者が多いのではないでしょうか。青年会議所の活動をしていなければ、おそらく一生関わらなかったであろう事業がたくさんあります。街の清掃活動、シニアの人たちの生活支援、子どもたちのキャンプや学習支援活動など、これらに参加していくことで、多くの視点に気づくことがあるはずです。人としての幅を広げる意味で、とても貴重な体験と言えるでしょう。。
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- 学びの機会
- 1.でも触れましたが、たとえばイベントの企画立案から運営までを経験できたり、また普段では話の聞けない先生をお呼びして研修会を開き、その分野の学びを深めるなど、こうした学びの機会を自ら作れることはとても大きなメリットです。また地域の人にそうした場を提供できたという喜びもあるでしょう。。
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- タイムマネジメント
- 毎月、いや時には毎週あるような青年会議所の集まりに参加するには、ふだんの自分の仕事をより効率よく片付けなければなりません。その中でタイムマネジメント力が養われていくことになります。
これらのメリットなどをわかりやすく提示しておくことで、青年会議所の活動に興味を持つ人も増えるのではないでしょうか。また現在活動中のメンバーや卒業生のOBOGの体験談やメッセージなどももっと発信されればよいのかと思います。これらの点については、どの地域の青年会議所のサイトを見ても、あまり表立っては出ていないように見受けられます。企業の新入社員のリクルーティングと同じようなPR活動が必要だと思います。
以上、青年会議所の活動やその価値について書いてきましたが、これは青年会議所だけでなく、同様の趣旨で人が集まっている団体に共通することでもあります。「やっていることはとてもいいことだが、そのメリットがあいまいなため、会自身の活動が低迷している、存続の危機にある」という組織はたくさんあるでしょう。今の時代はみな時間の使い方や自分のメリットに対してとてもシビアです。なんとなく…では人は動いてくれません。「これに参加して、この活動をすれば、こんなことが学べる」という点をハッキリと打ち出していくことが青年会議所はじめこれらの組織や団体のとるべき道かと思います。
さて次回は、このシリーズの最終回。ものの見方で問題解決!まとめ編をお送りします。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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