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2002年05月05日

2つの悪い知らせ

1.悪い知らせは重なるもの
 4月のある週明けの月曜日の朝、事務所の電話が鳴りました。出るといつも連載の原稿を入れている出版社の編集長からです。急遽、雑誌が休刊になるというのです。まさに晴天の霹靂。平静をよそおいつつ電話を切る僕。せっかく25回まで続いた連載、大変ながらもおもしろかったネタ集め…。残念というほかありません。

 その電話を受けた後、今度はすぐに外出し、講座を持っている英語学校へ6月のスケジュール調整のために向かいました。学校に着き、その話をしようとしたところ、校長がこう切り出してきました。

 「あの、残念なんですが、5月末で閉鎖です」

 「えーっ?」

 言葉が出ませんでした。縮小して続けていくと聞いてはいたが、まさかいきなり閉鎖になるとは…。

 ようやく慣れ、これからだったのに…。正直とまどいを隠しきれませんでした。現実的な話、その分の収入はどうしよう…。しかし、思ったほど僕は落ち込みませんでした。それはなぜでしょうか。

2.どちらのもののみかたを選ぶか
 起きた事実はこの2つです。

・連載していた雑誌が休刊になる
・講座を持っていた学校が閉鎖になる

これらの出来事について、AとB、2つのもののみかたができます。

A:「あー、なんて僕はついていないんだろう」
B:「待てよ。これは神様からのメッセージに違いない。2つも悪い知らせが重なるということは、新たな転機に違いない。よし、今の自分に何ができるだろうか」

 多くの人(昔の自分も)はこんなとき「あーなんて俺はついていないんだろう」というAのみかたをするのでは?でも、僕は今、Bのように考えられるようになりました。

 Aのみかたを選ぶと、人の感情は失望し、落ち込み、やる気などが失せてしまいます。でもBのみかたを選ぶと、これはチャンスであり、自分のできることに目が向いていくのです。

 人は自分に起こる現実を瞬時にこのどちらかに振り分け、それによりわいてきた感情を味わっています。それがつながったものが、その人の人生ではないでしょうか。どちらを選ぶのも本人の自由です。でも、どうせ同じ時間を過ごすのだったら、自分にとって楽な、展望が開けるみかたを選んだほうが、得ではありませんか。

3.もののみかたが自分の現実を決める
 このように考えると「目の前に起きた現実は、あまり問題ではない」と言えます。なぜなら、それに意味をつけるのは、その人のものの見方なのですから。現実は変えられませんが、もののみかたは変えることができるのです。

 いつも「自分が被害者」だと思っている人は、「自分は悪くない。まわりが悪い」と原因を外に求めてしまいがちです。そして彼らの意識は、環境、他人、上司、夫など、変えることのできないものへと向いていきます。人は「できない」ことに目が向くと、無力感を感じるものです。

 しかし、「すべては自分から始まる」という立場をとれば「自分には何ができるだろうか」と考えるようになります。先ほどとは反対に「できる」ことに目が向くと、自分に力がわいてくるものです。

 もちろん、テロや災害など、まったく自分に非がない災難が降りかかるとき、それは自分のせいではありません。しかしそんなときでも、「なんて自分はついていないんだ」といつまでも悔やむより「今、自分にできることは何だろう」と考えることから、新しい一歩が始まるのではないでしょうか。

4.「捨てる神あれば、拾う神あり」
 僕の話に戻ります。2つの悪い知らせを受けたその日の夕方、あるメールが入ってきました。見ると以前に球を投げておいた番組制作プロデューサーの方からです。明日にでも会いたいというのです。まったく世の中、不思議です。さらに4月末には、次の講演が決まったとの連絡が入りました。これらは僕にとってとてもうれしいことでした。こんなときだからこそ、気合が入ります!それにしても、なんと人生とはドラマチックなことか。こんな日々の落ち込みや喜びを、少しでもダイレクトにお伝えできたらと思い、今後も講演活動を続けていくつもりです。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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