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2021年02月09日

ミャンマー軍事クーデター

東南アジアのミャンマーで軍事クーデターが発生。ミャンマー国軍は昨年11月の総選挙で圧勝した民主派支援の国民民主連盟(NLD)による政権運営の実権を奪い、ミャンマー国軍総司令官が行政・立法・司法の全権を掌握したことを発表しました。国軍側は選挙戦の最中、選挙管理委員会が軍の指摘する選挙不正の是正を行わず、NLD優位に選挙を進めたことを非難。選挙不正を訴えるも公平な調査が行われなかったとして正義のための軍事クーデターであると主張。選挙中には世界各国からの選挙監視団体も選挙工程を監視しており、不正はなかったことが確認されていました。世界中から武力を使った政権奪取のクーデターに抗議が殺到。アメリカ・バイデン新政権は制裁措置に入ることも示唆しています。

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ミャンマーでは1962年の軍事クーデターから軍事政権が約50年間続き、2015年に民政移管を掲げた総選挙で民主派のNLDが勝利、軍政から民政への一歩を踏み出しました。そこから2度目の選挙となった昨年の11月の総選挙ではミャンマーの憲法議会規定にある全議席の4分の1は軍人議席枠がありながらも、NLDが議席の過半数を確保し圧勝。議会総選挙を通じて国民の声が届いた最中、国軍が軍事クーデターに踏み切りました。

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民主派の象徴NLDのアウン=サン=スーチー氏は、軍に拘束され、国家顧問・外相という権利は剥奪されました。大統領や民主派関係議員も次々と拘束され、、代わりに軍を代表する議員が閣僚の役職に任命される事態となっています。インターネットや電話などの通信回線も遮断され、政情不安から銀行のATMには現金を確保するために市民が行列を作り、食料品店にも客が殺到、食料の買い占めが一部で確認されました。今後ミャンマー国軍総司令部は、クーデターを率いた自らの正当性を示すため、選挙管理委員を軍主導で構成。過去の選挙戦の検証、今後の再選挙そのものを軍政優位に位置づけ、反軍政を掲げる民主派勢力、特にアウン=サン=スーチー氏率いるNLDを解党させる理由を突きつけてくることが想定されます。ミャンマーの長い軍政体制を打破するべきの公正な民主選挙は雲散霧消となっています。情報が閉ざされるミャンマー情勢に国際社会がいかに寄り添えるか、各国の動向にミャンマーの命運がかかっていると言っても過言ではありません。歴史の逆行が強いられているミャンマーへの注視が必要です。

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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