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2013年08月30日

子どもの入院で改めて感じる母のサポートの有難さ

 つい先日、私にとっては出産の次に母親として試される、ある出来事がありました。本当にもう一大事!!そんな時、冷静に、的確に立ち振る舞うって難しいことですね。大変勉強になりました。

 どんなことが起こったのかというと、元気に遊びまわっていた息子が夕方頃から何やらぐずぐず言いだし、抱っこしたら驚く程体温が高いのです。熱を計ったら38度6分。1歳を過ぎる今まで一度も熱らしい熱を出したことがなく、ここに来るまで健康そのものだったので、今回の発熱は、この子も、それに対応する私も初めての経験でした。私自身がここまでの高熱を出した記憶がないので、まさに未知の世界です。

 冷蔵庫にストックしてあった座薬を入れてあげて、しばらく様子をみました。薬はすぐに効果を発揮し、熱は比較的すみやかに下がっていってくれたので、息子もまた元の元気に戻り、いつもと変わらずお気に入りのおもちゃで遊びだしました。7度台の微熱はあったものの、寝る時も機嫌がよく、とりあえず熱を冷ます冷却シートをおでこと脇などに当ててあげると、すんなり寝入っていきました。

 しかし夜中になり、息子のぐずる声で目が覚めました。おでこや体を触ると、今度は先ほどよりもっとカンカンに熱いのです。熱を計ると9度7分。人の体がこんなに熱を帯びるなんて本当に驚きました。座薬をいれてから6時間が過ぎていたので、もう一度入れて様子をみましたが、今度はあまり熱が下がらず、絞ったタオルをおでこに当てたりしてなんとか熱を下げようと試みました。しかし、やはりしんどそうな呼吸です。かわいそう(涙)。それでもそのまま再び寝付いたので、とにかく朝一番にかかりつけの小児科に連れて行くことにしました。

 そして朝になり、医院が開く時間を目指して車で向かったのですが、異変はその着く直前!ビクンっと体を硬直させたかと思うと、白目をむいて手足を大きくブルブル震わせはじめたのです。熱性痙攣でした。いわゆる『ひきつけ』というやつです。『赤ちゃんはそういうことが起こることがある』と育児書や専門誌などで読んではいたのですが、実際に我が子にそれが起こり、そして痙攣している姿を見ると、本当に気が動転します。今もトラウマになるぐらい鮮明に記憶に残っています。

 幸いなことに病院にすぐ飛びこめたのでよかったのですが、これが病院から離れた場所で起こっていたらと思うと恐ろしくて仕方がありません。すぐ沈静化させる注射を打ってもらいましたが、症状がおさまるまで5分以上を要しました。大事を取って、かかりつけの先生が救急病院に連絡を取って下さり、すぐにそこで検査入院をすることになりました。「大丈夫ですよ」と先生に言って頂いても、やっぱりこんな心配な思いをするのは嫌です。懲り懲りです。でも、男の子は今後も病気の他に、やんちゃをして怪我をして帰ってきたりするんだろうな・・・と、もっと覚悟が必要だろうと思います。

 入院して4日目にようやく熱が下がり、同時に顔や体にポツポツと発疹が出始めました。病名は6ヶ月~12ヶ月の時期の赤ちゃんが特によく発症する『突発性発疹』でした。発疹が出ると熱の山はもう越えたということで退院の許可が下り、それから3日ぐらいで発疹も綺麗に消えていきました。通称『知恵熱』と呼ばれるぐらい、この病気は乳幼児期によくかかるらしく、高熱を伴うため熱性痙攣を起こすお子さんも少なくない割合であるそうです。熱性痙攣は脳炎と違い、それほどシリアスに考えなくてもよいと言われましたが、こんなに驚き、胸が苦しくなる思いをしたことはしばらく忘れられそうにありません。

 こんな折に改めて有難いと感じたのが『おばあちゃん』の存在でした。私を含め、兄妹3人を育て上げた大ベテランの母は、かゆい所に手が届く活躍で今回の入院も協力してくれました。私が仕事に行かなければならない日も、絶大な信頼感で子供を預けられるのは、やはり『おばあちゃん』。息子もとてもなついているし、私の仕事の内容もよく理解をしてくれているので、実質的にも、精神的にも支えてもらっています。この1年、私が選手だった頃並みに忙しくさせてしまっているかもしれませんね。「孫に会うと張り合いが出るわ~」と前向きに言ってくれていることに、すっかり甘えてしまっていますが、今の私の活動はおばあちゃんの存在の上に成り立っていると言って過言ではなく、感謝の一言です。

 都合良く聞こえてしまうかもしれませんが、息子も私もおばあちゃんも、今のこの関係がベストバランスであるような気がしています。子供にとって、たくさんの笑顔に接し、たっぷり話しかけられ、一緒に体を使って遊び、スキンシップを取ることは、何よりも欲していることであると思いますし、また私も、仕事を持つことで、母親としての顔だけではなく別の自分の時間を持っているからこそ、帰って息子に会った時に心底からの愛情で向き合えているのかなぁと思うことがあります。

 おばあちゃんも、周りの方々にますます肌艶がいい、若々しいと褒められると言っています。親バカかと笑って頂きたいのですが、息子と接する全ての大人の情緒が安定していることで、少なからず息子の表情の豊かさに繋がってくれているような気がします。そして夫も、よく笑いコロコロ表情が変わるかわいい息子にメロメロで、とにかくよく可愛がってくれていると思います。

 これから息子の成長とともに、仕事と子育ての両立に新たな課題が見えてくるだろうと思います。例えば、息子が習い事やスポーツを頑張ったりする時期になったときに、私が自分の親にしてもらったような全面サポートを息子にもしてやりたい・・・、とは言え仕事と子供のイベントのスケジュールが重なる・・・、というようなことが出てくることは、今からでも想像がつきます。

 何かを犠牲にしなければならなくなることも覚悟しないと、と今は漠然と考えていますが悲観はしていません。人間、必ずなるようになる!しかし、ただ待っていてはなるものもならないので、努力は厭わず進んでいきたいと思っています。

 また子育て世代の心の声、お話しさせて下さいね。

武田美保

武田美保

武田美保たけだみほ

アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト

アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…

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