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コラム 環境・科学

2014年04月10日

資源リサイクルと廃棄物処理

 日本においては循環型社会の形成のために、廃棄物の適正処理と資源リサイクルが強力に推進されてきました。今回はこの問題にふれてみます。

■プラスチックと可燃ごみ

 プラスチックのリサイクル法としてマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリサイクルが行われています。家庭から出るプラスチックは多種類のものが混ざっていたり、汚れているなどの理由でほとんどが可燃ごみと一緒に燃焼させてサーマルリサイクルされています。

 昔、焼却炉を高い熱で傷めないようにするために、プラスチックは焼却炉で燃焼しないようにしました。しかし、最近の焼却炉はダイオキシン対策などにより高温で燃焼されます。ダイオキシンは低い温度で燃焼させると生成しやすく、逆に高温ではダイオキシンは分解・消滅します。

 本来、焼却炉対策で始まったプラスチックの分別が、いつのまにかに資源リサイクル活動として定着したようです。しかし、可燃ごみとプラスチックを別けて回収しながら、最後は一緒に燃焼している自治体もある一方で、結局ともに燃焼させることからプラスチックと可燃ごみを一緒に収集している自治体もあります。

 また、プラスチックと可燃ごみの分別を徹底している自治体では、可燃ごみをポリ袋に入れて収集することはおかしいとして、紙袋で可燃ごみを収集している自治体もあります。

 プラスチックと可燃ごみの関係については、本質をかけはなれた状況にドンドン進んでいつように思えます。

■分別回収と一括回収

 廃棄物処理費のうち約7割は搬送費(人件費+運搬経費)で、特に最初の個別回収のところに費用が集中しています。欧米では、資源物は指定の場所に住民が届けるケースと、金属やプラスチック、紙などは資源物として一括して回収されるケースもあります。

 近年は住民税が上がるとともに、ごみ袋の有料化でごみ回収費も別途徴収されることが多くなっています。私の住む自治体ではごみを8種類に分け、週に9回程度のごみ回収が個別に行われています。

 一般ごみは家庭のみならず事業所からも回収されますが、業種によっては大量の一般ごみが発生し、労力をかけてごみを分別しなければならない企業もあります。

 一般ごみを一括して集め、回収後に分別すると自治体の費用の軽減につながることと思います。また、企業にとってごみを細かく分別する経費を考えると、一括回収後に集中分別した方がトータルで経済性が上がります。そろそろ、社会全体のコスト低減のために、一括回収の可能性や経済性を考えても良いのではないでしょうか。

■ダイオキシンの性質と生成

 日本ではかつてダイオキシン問題が大きな社会問題になりました。ダイオキシンは紫外線でも分解しない安定した物質で、生体の体内に入ると脂肪組織に蓄積しやすく、肝臓でも分解されない物質です。ダイオキシンは急性毒性、慢性毒性を有します。

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 ダイオキシンの構造式の例を図1に示します。塩素の付く位置によりダイオキシンには様々な種類があります。ダイオキシンはごみの焼却などにおいてベンゼン環と塩素が反応して生成します。ベンゼン環とは図1に見られる亀の甲(六角形)の構造体を指します。

 生ごみにおける食塩など、一般のゴミの中には大量の塩素が存在しています。たとえごみの中に塩素が無くても、空気中にダイオキシンを生成するのに十分な塩素が存在しているといわれています。このことから、ダイオキシンの生成は塩素を含む物質よりもベンゼン環を有する物質の燃焼が鍵であることが容易に分かります。

■塩化ビニル

 塩化ビニルはポリ塩化ビニル(PVC)のことで塩ビとも呼ばれます。塩化ビニルの構造式を図2に示しますが、塩化ビニルはベンゼン環を持ちません。従って、純粋な塩化ビニルを燃焼させてもダイオキシンは全く生成されません。なお、私たちが利用するプラスチックの中にはベンゼン環を持つものが多数あります。

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 既に1987年の米国の研究などで、「ごみの中に塩ビが無くても、塩ビの量を増やしていっても、生成するダイオキシンの量には変化がない」という科学的実験結果の報告が数多く出されています。要は、塩化ビニルはダイオキシンの原因物質ではないということです。

 また、「塩ビの使用は安全で、生産中に発生する排気と廃棄物の処理は、環境的に問題はない」など、1990年代の中ごろまでに、ヨーロッパの国や自治体では塩化ビニルの安全性が宣言されるとともに、耐久性に優れた塩ビは結局環境にも優しい素材と認識されています。

 私は長く環境問題に関わってきましたが、日本と欧米では社会の意識や認識が全く異なることにしばしば直面します。日本では、ほとんどの人が「塩化ビニルを燃やすとダイオキシンが生成する」と信じていたり、さらには「塩化ビニルこそがダイオキシン発生の元凶」と思っています。

 欧米では科学的根拠を無視したり、事業の経済性を軽視するようなことはまずありません。また、採算性が合わないことは、結局は国民や企業に経済的な負担がかかります。

 原発事故から3年が経ちますが、放射線やエネルギー問題で同様なことが見受けられます。日本の将来のために、正しい知識や情報に基づいて国民が判断し、行政が行われることを期待いたします。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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