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2013年12月27日

時差調整と暑熱対策が必須のブラジルW杯

 ブラジルW杯の組み合わせを、皆さんはどのようにご覧になりましたか?

 過去のW杯優勝国が含まれていませんし、第1シードから漏れたヨーロッパの強豪との対戦もありません。決して楽観視はできませんが、悲観する組み合わせでもないでしょう。非常に公平な組み合わせという印象を抱きます。

 

 W杯が32か国で開催されるようになった1998年以降の大会で、決勝トーナメントに進出したことがあるのは4か国のなかで日本だけです。グループステージの3試合をどのように戦い、ベスト16入りを狙うのかという経験値では、グループ内トップと見て差し支えありません。

 

 大会を勝ち抜くためのポイントを、いくつかあげていまししょう。
まずは時差調整と暑熱対策です。
現状のメンバー構成を見ると、日本代表のほぼ半分はヨーロッパでプレーしています。暑くもなく寒くもなくといった気候のもとで、ほとんどの選手はシーズンの終わりを迎えます。

 

 その一方で、W杯が開催されるブラジルは寒暖の差が激しい土地柄です。6月でもTシャツ1枚で過ごせる土地があれば、厚めのコートが必要な場所や時間があります。気候の変化にどのように身体を馴染ませていくのかは、ピッチに立つ前の重要なポイントです。
事前合宿をどこで行なうのか。中東なのか、ヨーロッパなのか、あるいは北米なのか。そのうえで、ブラジル国内のベースキャンプ地にどのタイミングで入るのか──このあたりの見極めが大切になってくるでしょう。

 

 ベースキャンプ地は、サンパウロ近郊のイトゥという都市に決まりました。サンパウロには日本食レストランがたくさんありますので、食材の調達が容易と考えられます。
また、日本代表のオフィシャルスポンサーの子会社が、イトゥに本社を置いています。ミネラルウォーターなど飲料も、日本から大量に運搬する必要がなく、現地で調達できるのではないでしょうか。普段から飲み慣れているものを口にできる選手はもちろん、スタッフの負担も減るという意味で、イトゥは利便性の高い街と言えそうです。最寄りの空港へのアクセスも、スムーズと聞いていますので。

 

 コートジボワール、ギリシャ、コロンビアとの戦いにどのように挑むのかは、これから随時語っていきたいと思います。

 

 というのも、大会の開幕までまだ半年ほどあります。コートジボワールと言えばドログバ、コロンビアと言えばファルカオといった警戒すべきストライカーがいますが、ひょっとしたら彼がケガをするかもしれません。日本対コロンビア戦は第3戦ですから、ファルカオが出場停止になっているかもしれない。もちろん、日本側が不測の事態に陥る可能性も否定できません。不確定要素を含んでいるので、細かなシミュレーションはもう少し大会が近づいてからのほうがベターでしょう。 現時点で私が注目したいのは、23人のメンバー編成です。

 

 私がコーチとして参加した2002年日韓W杯で、フィリップ・トルシエ監督以下スタッフは『チームの一体感』を大切にしました。ゲームで先発する11人だけでなく、登録メンバー全員が一体となって戦う雰囲気を、作り上げたかったのです。そのための手助けとなってくれたのが、ベテランの中山雅史と秋田豊でした。
先発で出場する可能性はほとんどないものの、彼らはピッチの内外でチームを盛り上げてくれました。トレーニングではチームの牽引役となり、宿泊先では年下の選手たちの相談役になってくれたのです。
現在の日本代表は、アルベルト・ザッケローニ監督と彼が連れてきたイタリア人スタッフで固められています。
日本人の精神性やグループ観はもちろん、歴史観といったものまでを理解したうえで、彼らは23人を選ぶことができるのか。サッカーの監督としての視点だけでなく、組織を束ねるリーダーとしてのマネジメント能力が、ザッケローニ監督には問われるのです。

山本昌邦

山本昌邦

山本昌邦やまもとまさくに

NHKサッカー解説者

1995年のワールドユース日本代表コーチ就任以降10数年に渡って、日本代表の各世代の監督およびコーチを歴任し、名実ともに日本のサッカー界を牽引してきた山本氏。山本氏の指導のもと、成長をとげた選手達は軒…

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