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2026年07月15日

本質を見極める力

第4回「本質を見極める力」

今回の内容のポイント:

・フェイク情報の真偽を見分けるのは、AIでも難しい
・AIの真実は自分の真実ではない
・メタ認知とクリティカルシンキング、この2つの思考を心がけよう

熊出没情報はAIフェイクだった

少し前、宮城県で街中に熊が出没し、市民からその画像を提供された行政が地域に警告を発令しましたが、ほどなくしてそれがAIフェイク画像だと判明しました。行政でもそれがフェイクかどうかをAIに判断させたのですが、真偽がわからず、もし本当だったらのことを考え情報を流したようです。最近AIの技術も向上し、真実かどうかわかならいような動画や画像が流れてきます。こうしたなか私たちはどのような力を養えばよいのでしょうか。

メタ認知

メタ認知という言葉をご存知でしょうか。これは「自分の認知(考え方・感じ方・判断の仕方)を一段上から客観的にとらえ、調整する力」のことです。私は、いま求められるのはこの視点だと思っています。AIは確かに優秀で様々な情報を即座に教えてくれますが、間違っていることもあるし、自分専用にカスタマイズされた情報ではないので、すべてうのみにすることは危険です。

少し前、プロ野球の監督が自宅で子供たちの姉妹喧嘩の仲裁に入った際、長女を投げ飛ばし、長女はチャットGPTに相談。児童相談所に相談したほうがいいという回答があったため素直にそれに従い電話。それを受けた児童相談所の担当者はこれは一大事!ととらえすぐ警察に通報。パトカーが自宅に駆け付け監督は現行犯逮捕となり、一番驚いたのは電話をした長女本人だったというニュースがありました。

もちろん、被害の程度によっては「児童相談所へ通報」も必要でしょう。ただその前に「待てよ。AIはそう言っているが、母はどういうだろう?親友はどう思うだろう?また似たようなケースはネットであるかも…」とほかの情報源にアクセスし、その上で総合的に判断する、という思考があれば結果はまた違ったかも知れません。このように自分の考えを客観的にとらえ、全体をみて判断するというのがメタ認知です。

2つのチェックポイント

私がAIを活用する上で気をつけていることが2つあります。まずひとつは、その回答が正しいかどうかを疑うこと。質問の仕方によっては間違った回答が返ってきます。その際、「ん?これって本当に正しいかな?」と疑い、ほかの情報源もあたってみるというステップが必要です。そして2つめは、それが正しいとしても自分のケースに合うのか否か、という判断です。

私はよく家電製品を直すのが趣味なのですが、先日ダイソンの掃除機のヘッド部分(互換品です)が故障しました。トリガーを握って5秒くらいするとすぐに止まってしまい、また首の向きによって動いたり止まったりする症状も確認できました。こうした情報をAIのCopilotに入れてみたところ「ダイソンヘッドは自分で直せるが、内部配線の断線の場合、自分で直せない可能性が高い」との回答。そして近くで修理できるショップの連絡先が載っていました。しかしここで「そうかよし、じゃあここに電話しよう」とはなりませんでした。なぜなら私はある程度修理の経験もあり、中を分解し配線を入れ替えるくらいならできると思ったからです。そして案の定、直すことができいまでは無事に動いています。このケースも「自分では直せない」という回答は多くの人にとっては正しいかもしれませんが、私にとっては正しくないのです。私の固有の背景や経験をCopilotは知りません。なので、AIの回答にふれたとき「これも解決策のひとつだな」と距離をおいて接することが大事だったかと思います。

クリティカルシンキング

思い込みや既成概念をいったん脇に置き「本当にそうか?」と問い直しながら、情報を客観的・論理的に吟味し、より妥当な結論に到達するための思考法をクリティカルシンキングと言います。うちの高1の長男と接していて思うのですが、彼はネットのひとつの情報を信じていることが良くあります。たとえば病院に行くときもグーグルマップで調べるまではいいのですが、そこに記載されている営業日だけをみて行ったものの休みだった、ということが一度や二度ではありません。私なら「病院というもの、先生が学会だったり何かの都合で休診することもありうる」ということをこれまでの経験から知っているので、怪しそうな場合は一応電話をします。こうして常に物事を疑ってかかるクリティカルシンキングも必須の思考法と言えるでしょう。

AI全盛時代のいま、私たちは物事の本質を見極める力が必要です。自分の考えから一歩離れてそれを冷静に見るメタ認知、そして情報をうのみにせず「本当にそうなのか」と多角的に考察するクリティカルシンキングを心がけるようにしたいものです。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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