2019年12月16日

ものの見方でビジネスのアイデアその1

さて、前回はものの見方を人間関係に応用してみましたが、今回は見方を変えて面白いビジネスを生み出した事例をいくつかご紹介します。

価値メガネ×ビジネス=レンタルなんにもしない人

さて、いままで誰も価値を見出していなかったものに価値を見つける「価値メガネ」ですが、これをビジネスに応用した事例としてご紹介したいのが「レンタルなんにもしない人」です。これまでは「レンタル家政婦」とか「レンタル掃除屋さん」とか、その人を雇うことにより何かをしてもらう目的を達成するのが通常でしたが、この「レンタルなんにもしない人」は、文字通り何もしないのです。手間賃一万円と彼の住んでいる国分寺からの交通費と飲食代のみで、ただ一人の存在だけが必要なシーンにご利用ください、とあります(本人のツイッターより)。

マスコミでもたくさん取り上げられているのでご存知かとは思いますが、依頼内容をみると:部屋の片づけをただ見守ってもらいたい(ひとりだとさぼってしまうので)、自分が仏像になるので自分を拝んでほしい、ビフォーアフターのメイクモデルが見つからないのでやってほしい、プレゼンテーションをただ聞いてほしい…などなど。

これまでの価値観では、人は何かをしなければ価値はない、と思われていたのを、そこにいるだけで価値がある、というふうに180度ひっくり返したところに、この人の着眼点の素晴らしさがあると思います。

逆転メガネ×ビジネス=冷凍パン

「パンは焼き立てに限る。冷凍はまずい」-これは多くの人がいまだに持っている偏見です。群馬県桐生市にあるスタイルブレッドという会社は、いま全国の一流ホテルやレストランに焼き立ての冷凍パンを提供しています。ところが2006年ころにこの会社がこの冷凍パン事業を始めたころは、だれも見向きもしなかったとのこと。やはりパンはその場で焼かないと…という壁があったのですね。

しかし、アメリカの視察で冷凍パンのおいしさを目の当たりにした4代目社長は、「ここで変わらなければ未来がない」と一大決心をし、冷凍パンを社内に啓蒙し、ホテルやレストランへの普及活動にまい進したそうです。冷凍パンは、必要な分だけ焼けばよく、ロスがとても減らせます。そして手間暇をかけてつくってあるので品質はとてもよい。いまはインターネットでも購入ができ、私も食べましたが、本当に焼き立てのようにおいしい。最近よくビジネスホテルなどで朝食の無料サービスがあり、そこでパンが並んでいますが、きっとあのパンもこうした冷凍パンが使われているのでしょうね。また町のパン屋さんで、ご高齢のご夫婦が腰を曲げながらパンを焼いている姿をみると、こうした商品を扱えばもっと楽になるのになあと思ったりもします。

冷凍パンはまずい、ではなく、冷凍パンだからこそのメリットを表に出し、人々のパンに対する価値観を変えていこうとしているこの会社こそ、逆転メガネを使った勝者といえるでしょう。

このように、ビジネスのアイデアとは、もう出尽くしただろうと思うたび、まだまだいくらでも出てくるもので、それにはやはりある程度の発想の枠組みが必要なのかもしれません。そのひとつとして「ものの見方」が使えるのではないかと思います。

さて、次回は「ものの見方でビジネスのアイデアその2」をお送りします。どうぞお楽しみに。

【今回のポイント】

★見方を使ったビジネスアイデアの例
・価値メガネ…何にもしない人に価値がある→レンタルなんにもしない人
・逆転メガネ…冷凍パンはまずい、の価値観を覆した→スタイルブレッド