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コラム 教育

2011年09月20日

想像力を育てる

 「二十四の瞳」の作者は誰ですか?
多くの子どもや学生がキョトンとした顔をしています。それでは、「赤い蝋燭と人魚」は、「幸福の王子」は誰が書きましたか?続けざまに問いかけてみても答えが返ってきませんでした。
これをお読み頂いているみなさんは、直にお答えになれましたか?

 活字離れが進み良書とされる児童文学が子どもから遠のいています。「二十四の瞳」は何度も映画化された作品でもあり、壺井栄の代表作でもあります。
「赤い蝋燭と人魚」は、”日本児童文学の父”とも言われる小川未明の作品で、「幸福の王子」は、オスカー・ワイルドの作品です。いずれも作品から様々なことを気づかされ、考えさせられ学びに繋がる作品でもあります。

 夏目漱石や芥川龍之介といった文学作品が、今もなお読み伝えられているのには、それぞれの作品に教えや諭しがあるからでもあります。
読書には、人間性を高め自己成長を促す効果、そして想像力を育む大きな効果があります。

 私は幼い頃から本を読むのが大好きで、一日一冊は本を読んでいました。強制されてではなく、私にとっては本を読んでいる時は、野原を駆けずり回って遊んでいるのと同じように至福の時でもあり、本の世界に入って色々考えることが好きでした。
特に偉人伝を読むことが好きで、世のために尽くした人の幼少時代を知り、何を考えながら未来を見つめていたのかを幼い知識ながらにも考え、見習うべきことは自分の中に反映させていこうとしていたように思います。そして、私の志に灯りをともしてくれていました。幼い頃からの読書が大人になって、様々なことを考え伝えるうえで非常に役にたっています。

 より多くの本に目を通し、様々な考えを読み、その中で自分自身に問いかけて答えを見つけるなり、参考にするなり色々な活用方法があります。読書から得られるものの大きさは偉大です。
 特に名作と言われている昔から現代に渡って読み続けられている文学作品や児童文学といわれる良書は、是非、子どもは幼いころから慣れ親しんで欲しいと思います。
 良い文書には、リズムがあります。リズムのある文書を読み続けることによって作文の能力がつき、会話の能力もおのずとついていきます。そして、活字を追いながら想像力を養うことができます。映像と違い活字を追っての世界は、その内容を自分の中で理解し、頭の中で情景描写や登場人物の気持ちを想像し時には共感しながら話の展開に集中していきます。文章を通して気づきや色々考えることにより、自分の考え方にしっかりした芯が通るようになります。
 物事をたくさん吸収する子ども時代は、特に良い本に親しむことが大切に思います。

 今の子どもたちが、昔から伝わる児童文学を知らないのは、その親の世代が幼いころ児童文学に親しんでいないからでもあります。自分が読んでいない本を子どもに読み聞かせることはできません。そして、親自身が活字から離れているからでもあります。
 本を読むことは、想像力と何よりも感性を磨きます。子どもの傍に寄り添う大人により、絵本を見て子どもにお話しをするということをしてもらった子どもは、あとで違いがでてきます。

 秋の夜長、良質の本と共に、一人で楽しむのも良し、子どもとともに活字を追いながら、本の世界へ旅するのも良し、乾いた時代だからこそ、本の楽しみ方をお子さんに是非、傍にいる大人が楽しみながら教えていっていただけたらと思います。
 心の目で真実を見る力、余裕を持って考える力の基礎作りは、子ども時代にどれだけ素晴らしい本に出会ったかといってもよいほど、多くの本に触れる機会を持つことが大切になります。

春日美奈子

春日美奈子

春日美奈子かすがみなこ

フリージャーナリスト

國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。

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