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コラム 人権・福祉

2015年03月20日

子供たちの”働く”という時間

 世界中で出会った子供たちの暮らしの環境は、”働く”という時間で覆われていました。日本では子供が働くことを目にすることはありませんが、世界では、家族の暮らしを支える為に、子供たちが様々な仕事に関わることは珍しくありません。

 

 アフリカ中東部ウガンダという国の首都カンパラにある巨大市場では、大人から子供までが一日中働いていました。食料品や生活雑貨を売るだけでなく、商品を市場の所定の場所まで運ぶポーター、屋台を作る為のビニールシートをはりつける職人、市場で破棄された廃棄物を専門に集める業者、コーヒ一杯を市場のなかで働く方々へ支給する業者向け簡易コーヒーショップ、様々な仕事が渦をまき、路地裏に軒を連ねていました。

 

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市場で出会う若者たちはみな、気さくで、いつもまぶしい笑顔で迎えてくれます。その反面、市場で売られているものは値札がない商品がほとんどであり、値段交渉をして初めて商品を購入することができる。これは相手が子供でも大人でも関係なく、有利に値切る交渉術を身につけなければ損益を被ってしまいます。この生活リズムに慣れることがウガンダの方々の懐に入り込む入り口でありました。こうした慣習はアフリカの全域で目にすることができ、地元の方々と触れ合える一番身近な環境でありました。

 

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 日本と同じアジアの国、インドネシアでは子守りをする子供たちと何度も出会うことがありました。経済発展を続けるこの国では、両親共働きの家庭が増えており、子供たちが家事の一部を担ったり、幼子の面倒をみることは珍しくありません。さらに各家庭が大家族であることが多く、生活の根幹には、いま必要なものを対応できる方々が支えあうという考え方が根付いています。家族、親族の横のつながりが非常に強いことが家族形態の特徴であり、子守りひとつをとっても、それを子供たちで支えあう姿勢が自然な行いとして浸透していました。

 

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 パキスタンでは水汲みをする男の子との出会いがありました。日本のように水道をひねれば水が出る、水洗式のお手洗いがあるという暮らしは、世界ではあたり前ではありません。”命の水”という言葉が存在するように、コップ一杯の水を手にすることだけでも労力を費やさなければならない環境があります。村に一つの共同井戸から水を子供たちが確保する。雨が降ればすぐに屋根からしたたる雨水をバケツにためておく。子供たちの労力が家族の負担を減らしていく。日本で感じるあたりまえの日常は、あたりまえではないということを世界の子供たちから気づかされました。

 

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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