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コラム 人権・福祉

2013年10月18日

戦場のダイエット・アフガニスタン米軍兵士の日常

アフガニスタンに展開するアメリカ軍に従軍カメラマンとして生活を共にしました。戦場という日常を兵士と時間を共有する中で、印象に残った光景があります。それは兵士誰しもが必ず自らをリフレッシュさせる時間を取り入れていたこと。その時間とは徹底した筋力トレーニング。

 

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 最前線に点在する米軍キャンプ地では、稼働性が高くタフな軍事用テントで兵士は戦場生活を続けます。その宿舎でもあるテント群のわきには必ず吹き抜け状態の筋力トレーニング室が備え付けられ、兵士が頻繁に出入りしていました。兵士たちは最前線のパトロールで約40kgにもおよぶ装備を身につけて山や土漠を徒歩で越えていきます。この強行軍に耐えきる兵士たちの強靭な体力は、米軍特有の高カロリーな食事から日々摂取していきます。キャンプ地の食堂ではステーキやパスタ、ピザなどアメリカ本国のソウルフードだけではなく、最前線移動中に食すことが出来る完全密封のMRE(兵隊用携帯食)までも欠かさず用意されています。砂塵の中、瞬間沸騰で温めた携帯食を口に出来ることは幸せ以外のなにものでもありません。こうした戦場のイメージとはかけ離れた食事の環境は、時に兵士の必要摂取カロリーをオーバーしてしまい、ウエイト管理を余儀なくされる状況も存在していました。

 

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 キャンプ地で兵士たちが自由時間に何をしているのかを観察していると、決まってTシャツ短パン姿で携帯音楽プレーヤーを聞きながら、筋トレルームに足を運んでいました。そこでは、男性兵士だけでなく、女性兵士の姿もあり、筋トレマスターとも言える上官が、それぞれの兵士に対して個人トレーナーのように丁寧に指導を行っていました。誰しもが筋骨隆々の体つきをしている中で、「どうしてここまで筋トレを連日続けるのですか?」聞いてみるとかえってくる言葉はいつも一緒でした。「筋力の維持とダイエット」。戦場という極度のストレスと連日の食生活で祖国にいる時よりも体重が増えてしまうことがあると兵士たちは教えてくれました。それ故に「任務を終えて帰国する日を目標に筋力をアップさせるだけでなく、体重を理想的な数値にコントロールしていくことが日々の日課になっている。体を極限に鍛え抜くことで、緊張にさらされた精神を平常心に戻す効果もある」とも言います。兵士との生活をともにすることで見えてくる現実的な筋トレ事情に頭が下がる想いでありました。

 

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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