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コラム 人権・福祉

2020年07月02日

民主化運動アラブの春と西アフリカ動乱

西アフリカ一帯で拡大する襲撃テロ事件

西アフリカ一帯で、イスラム過激派組織による襲撃テロ事件が拡大しています。ブルキナファソの北東部地域では、民間人や外国人、国際支援団体関係者が殺害される事件が多発。ブルキナファソでは貧困や経済格差が激しく極端な過激思想が染み込みやすい土壌がありながらも、イスラム教徒とキリスト教徒の共存が周辺国に比べ安定していました。

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歴史建造物や集落を襲撃

マリ共和国では、国際テロ組織アルカイダに忠誠を誓う過激派組織が早い段階から北部地域に根付いており、歴史建造物や集落を襲撃する事件が拡散。マリ共和国国軍と旧宗主国である駐留フランス軍による掃討作戦も功を奏していない状況となっています。サハラ砂漠に覆われるアルジェリアやニジェールでもテロの連鎖、武器や戦闘員の流入が確認されています。

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中東一帯で広がった民主化運動アラブの春

2011年に中東一帯で広がった民主化運動アラブの春。各国の強権体制が市民による反政府抗議運動の波に飲み込まれ崩壊。独裁者が失脚した国家では既得権益を狙った武装組織が乱立し内戦状態に突入。アラブの春での理想郷とされた民主化そのものが中東諸国に染み込むことは困難である時流が認識されてきました。

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過激派のうねりが中東から西アフリカへ

さらにアラブの春の混乱は、中東地域から北西アフリカに波及していきます。北アフリカのリビアではカダフィ独裁体制が崩壊したことによって、石油資源の権益をめぐる内戦が勃発。地域・部族・カダフィー派、反カダフィー派、さらには過激派イスラム国が入り乱れた衝突が深まりました。その追い討ちをかけるように地中海制海権や石油資源を狙った諸外国がリビア内政に軍事介入。リビア暫定政府側にはトルコやカタール、反政府組織である東部拠点のリビア国民軍(LNA)側にはロシアやエジプト、石油企業に関わりをもつ欧州諸国が後方支援。すでにロシア軍戦闘機10機以上がリビア上空を飛行していることも確認されています。現在のリビア情勢は各国の利権が絡み合った代理戦争の様相を呈しており、その軍事構造は中東のシリア内戦と同じ輪郭となってきています。リビア内戦を基軸に、武装組織の乱立、外国人戦闘員の介入、武器の流出が周辺諸国に波及。特に西アフリカ一帯では混乱に乗じた過激派の連携が深まり、各々の地域で複数のテロ事件が勃発。新たなるテロの拠点が構築されてきました。過激派のうねりは中東から西アフリカにシフトしていることを認識する時を迎えています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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