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2013年06月20日

ルワンダの涙から笑顔へ

アフリカ中部に位置するルワンダ共和国に入りました。この国は私自身が戦場カメラマンになるきっかけとなったルワンダ内戦が勃発した場所。ここにはあまりにも悲しい歴史が残されています。ルワンダ内戦とは1994年の4月に発生した民族紛争。ツチ族とフツ族の衝突で約100万人の方々の命が奪われました。ジェノサイドと呼ばれる大量虐殺が発生し、アフリカ大陸史上でも類をみない悪夢がこの国を覆い尽くしました。あの悲劇から約20年の歳月が経ち、ルワンダは復興と平和への想いを一致団結させています。ルワンダはアフリカ大陸の中で最も人口密度が高い国であり、どこに行っても人で溢れています。そこで行き交う人たちは、みな胸にリボンをつけていました。虐殺で命を奪われた方々への想いを馳せるために、祈りのリボンが配られていたのです。 

ルワンダでの移動はバイクタクシーを使います。バイク青年たちは、タンデムシートにお客さんを乗せて目的地まで、いかなる道であろうと運んでくれます。このバイクタクシーは、斜面が多い首都キガリで大切な市民の足となっていました。そのバイクタクシー乗り場に一緒に姿を見せるのが新聞売りの子供たち。早朝から新聞を売り歩いて家計を支えていました。長距離をカバーする乗り合いバスもかかせません。日本製のワゴン車にびっしりとお客さんを乗せて巡回ルートを何回も往復します。キガリを取り囲む山の斜面は手作り家屋でビッシリと埋め尽くされており、子供たちが笑顔で迎え入れてくれました。優しい時間がそこにありました。

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現在のルワンダはツチ族とフツ族という差別感情は影を潜め、それぞれの地域で市民が一緒になって暮らしていました。アフリカではいま、石油や天然ガスなどはもちろんレアメタルやダイヤモンドなど天然資源獲得を目指して各国が熾烈な駆けひきを続けています。世界がアフリカの声を聞こうと耳をそばだてています。戦争という悲しい時間から、ルワンダは生まれ変わりました。この国が紛争をかかえるアフリカ各国復興への希望の星となっていくことを願ってやみません。ルワンダの涙はルワンダの笑顔へと変わってきていると実感しました。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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