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2011年09月20日

インド就職戦線異状あり。職業訓練所で学ぶ女学生

2011.09-2.jpg インドの首都ニューデリーにある商店街で一人の女学生が手に職をつけるため勉学に励んでいた。そこは学校ではなく、ヘナと呼ばれるインド天然染料を使ったデザイン屋さん。ヘナとはもともと髪の毛を染める天然染料として世界でもその名は知れ渡っているが、インドでいま人気を博しているのが、ヘナ染料を使ったデザイン画を若者や旅行者の手足に描く事であった。インドでは女性が一般教育課程卒業後、自由に希望の職種につく事は今でも難しい。地方では教育そのものを受ける事さえも困難な地域が存在する。そんな中、日本でいう職業訓練所のような存在が就職への第一歩の場所となっていた。自分で目標をたて、自らがその学校に足を運び、職を手にしていく。そこでは男性も女性も関係なく、理屈を抜きに行動を起こす事が求められた。

2011.09-5.jpg 兄弟の学費を稼ぐために女学生はヘナの装飾技術を学んでいた。インドでは冠婚葬祭において女性が腕や足にヘナでデザイン画を記す事は慣習としていまでも残っているが、ヘナデザインを外国人観光客に施す試みが人気を博し、ビジネスモデルとして成長してきている。女学生はもちろん、男子学生たちもその技術を身につけてヘナビジネスの一端に関わっていく光景を都市部で何度も目にした。ヘナデザインは天然植物の葉っぱから抽出した粉末を水やオイルで溶いていき、細長い筒の中にその液状化したヘナを流し込む。そして職人さんがデザインした絵や柄を手や肩に直接下書き通りに描いていく。ヘナを書き終えるのに約30分、書き終えた後にはヘナを乾燥させて、表面を拭き取ると茶色い文様が肌に残り完成となる。その後3週間ほどですべて消えてしまう。この消えてしまうということが人気の理由でもあった。

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2011.09-1.jpg インドでは両親の職業を子供たちが引き継いでいく世襲の風習が色濃くのこっており、生活環境を切り替えていくには、自らの技術で新しい職業に切り込んでいくことが求められる。世界で最も高等教育が発達しているインドにおいても、家族の将来を担っていく若者たちは、仕事を手にしていく自由さを求め、そして厳しき壁を登っていた。インドでは若者たちの力がうごめいている。女学生の笑顔はまぶしいほどに輝いていた。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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