先日、生成AI最大手の米OpenAIが、これまでのGPT-4に代わる最新の生成AIであるGPT-5を発表しました。OpenAIのアルトマン社長は、「以前のモデルが“ちょっと賢い大学生のような感じ”だったとすれば、GPT-5は“博士号を修得した専門家に何でも聞けるような感覚”」と喩え、世界中がその新しいAIに大きな期待を寄せていました。
しかし、公開後の評価は奇妙に分かれてしまいました。AIの専門家は「確かに前のバージョンよりも良くなっている」と評価したのですが、一般ユーザーがSNSなどに書き込んだ評価は「以前よりも受け答えが冷淡になった」「GPT-4のように寄り添ってくれない」などだったのです。確かに、これまでは何か聞くと「それは良い質問ですね!」とか「納得です!」のような(私にとっては)一見不要な答えが冒頭についていることが多かったように思います。
AIの専門家にとってみれば、「え?そこ?」という感想ではないでしょうか。受け答えの際の言葉使いなどは、生成AI本体の問題では無く、ユーザーインターフェース部分の「味付け」的な部分です。今回は、GPT-5のリリースに合わせてその辺を調整したために混乱したのでしょうが、別にGPT-4を冷淡な感じに調整することも可能なはずです。OpenAIは、希望者が使えるように前のGPT-4の提供も並行して行うと発表しました。
私などは、むしろこれまでは「なんか、ユーザーにお世辞を使い過ぎていないか?」と感じていましたし、そう感じていた人も周りには一定数いたように思います。それだけに、今回のこの評価には驚いたのですが、要は、言葉使いの感じ方は人それぞれということなのでしょう。
これはまた、一般ユーザーは生成AIの「精度」そのものにはあまり興味が無い(もしくは従来の生成AIでも精度は十分と感じている)ということなのかもしれません。生成AI利用の裾野が広がり、さまざまなユーザーが思い思いの使い方をしていく中で、AIベンダーはこれまでのような精度一辺倒の開発姿勢では受け入れてもらえないという時代に差し掛かっているようです。


大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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