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2008年08月10日

ながら運動は、最良のストレス解消術

日常ながら運動に目覚めるということは、1日中、ちょこまかと動き、姿勢をシャキッとさせて、筋肉に少し力を込め、体を大きく伸ばすことに他ならない。即ち、胸を張り、外に向かってエネルギーを発散させることに通じる。

逆に過剰な仕事量、長時間労働、仕事上のミス、人間関係のトラブル、将来の不安、子育て、介護問題などでストレスにさらされるている姿を想像してみよう。恐らく、背中を丸め、肩を落とし、うつむき、表情は暗く、声もか弱いはずである。できるだけエネルギーを温存させようとする内向きな姿である。

強いストレスを受け続けると、情緒不安定、集中力の欠如、睡眠障害、慢性疲労、時には、うつ、アルコール依存症、心身症、高血圧症、消化器系や心臓疾患、時には、ガンに対する抵抗力の低下にまで波及することもわかってきている。

2007年の自殺者は3万3093人で10年連続して3万人を超えた(警察庁発表)。男女比では男性が70%を超え、年齢別では60歳以上が37%に上る。戦後、日本の経済を推進させ、支えてきた年代の男達が、最も多く自ら命を絶っているという辛い現実がみえてくる。原因、動機では「健康問題」がトップで44%、具体的な動機では「うつ病」によるものが最多で全体の18%を占めている。

実際、精神面でのストレスを理由とする過労労災が急増している。2007年には精神疾患での労災申請が脳や心臓などの身体的疾患での申請を初めて上回り、企業健保でもメンタルヘルスの重要性はメタボと同様最重要課題になりつつある。

今から300年前、貝原益軒が著した「養生訓」の「天は長く地はひさしいのに、ひとの命はかくも短いのかと思うと、おのずから悲しく涙がこぼれてくる。こうした短い命をもちながら、養生の道を行わず、短い天命をいっそう短くするのはどうしたことか」という一節が改めて重くのしかかってくる。

今のストレス度を自己チェックしてみよう。以下の項目であてはまるものが半分以上あれば、かなり危険なストレス状態だと推定できる。
1.残業、休日出勤が多い
2.部下のミスを叱責することが多い
3.何でも自分でチェックしなければ気がすまない
4.責任感が人一倍強い
5.毎晩深酒をする
6.ヘビースモーカーである
7.睡眠時間が充分取れない
8.寝付きが悪い、目覚めが悪い
9.常に仕事上の悩み、人間関係の悩みがある
10.最近、賃金カット、配置換え、転勤、転職があった

実は、ながら運動は健康づくり、メタボ解消に効果があるだけではない。内向きになっている心を無理なく、自然に、絶えず、前向きに修正してくれる効用ががある。単純なことだが、1日中チョコマカと体を動かしている状態では、ストレスがたまらない、発生しようがないということだ。ストレスが居座る条件は、体が外向きではなく内向きになっているときなのだから。

ながら運動に目覚めた人は、とんがった心が丸く穏やかになるという。何事にもポジティブな考えに変わってくる自分に驚くともいう。例えば、仕事で外出して駅まできてから、大事な資料を忘れたとする。今までだと「しまった、面倒くさいな~」とげんなりしたり、「時間がない!」と焦ることだろう。しかし、ながらの技を身につけると、「まだ間に合う、大またで速足だ、これで余分に500歩は歩ける!」と力強く踵を返すようになる。こんな楽天的思考にはストレスの入り込む余地などありようがない。

私のストレス解消術の一例をを紹介しよう。仕事や生活の中で、待ち時間は意外に多い。駅、信号、銀行、電話サービスの待機、病院、スーパーのレジなどで、ただ待たされているとイライラしてくる。命は1分1秒の積み重ねであり、その積み重ねが1月、1年、そして一生にる。貴重な人生を、無為に待たされていると思うと、心が耐え切れなくなってくるのは自然である。そんなときこそ、ながら運動術を発揮するときだ。

例えば、長い列のATMの順番をただ待っている人達の表情は、皆、一様に不機嫌である。しかし、私はながら運動タイムとして、かかとの上げ下げ運動、腕の押し合い運動、お尻引き締め運動、お腹引き締め運動などで、全身の筋トレをさりげなく行う。そうしている間に、いつのまにか順番が回ってくる。

講演会、テレビ出演、雑誌の写真撮影などの悩みは、待ち時間が長いということ。そんな待ち時間の合間も絶好の運動不足解消タイムになり、気持ちがグッと楽になる。些細なことのようだが、私の場合、ながら運動がきっかけとなって、心が穏やかになれ、集中力が高まり、発想が次々にわいてくるのである。

ながら運動が日常生活でのちょっとした心の引っかかりを浄化してくれるということである。

長野茂

長野茂

長野茂ながのしげる

株式会社フィットネスビジネス研究所代表取締役

「日常ながら運動」のパイオニア。忙しい現代社会で自分のライフスタイルに無理を上乗せするような、特別な健康づくり、ダイエットはなかなか長続きしません。どんなに仕事が忙しくても、どんなに不規則な生活をして…

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