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2023年07月10日

Appleが示した未来のコンピュータ

Appleは、毎年6月上旬にWWDCという開発者向けのカンファレンスを開催していて、さまざまな新製品が発表される場でもあるのですが、ここ数年はiPhoneにも目立った新機能は無く、驚くような新製品の発表もありませんでした。しかし今年のWWDCで発表された「Apple Vision Pro」は、久々に未来を感じさせる製品です。Apple自身、「Mac、iPhoneに続く新しい革新」と言っています。見た目はこれまでにもあったようなゲーム用の「VRゴーグル」ですが、その中身や目標はまったく異なったものになっています。

この製品、発表時には一般メディアでも取り上げられましたが、なんといってもその価格が高いこと($3500、日本円で50万円近く)、日本での発売時期が来年後半と、1年以上先であることなどから、その革新性についてはほとんど報道されていません。見た目がこれまでのVRゴーグルとほとんど同じなので、第一印象としては「別に珍しく無い」「なんでいまさら」「ゲーム用でしょ?」といったものになるのは仕方有りません。それでいて価格が10倍以上違うのですから、「なんだそりゃ」「買わないよ」と考えるのも無理もありません。しかし、IT系のメディアでは多くの人が絶賛しており、「この金額でも安いくらい」「出たら絶対に買う」という人も多いのです。

AppleはVision Proの発表で、VRとかメタバースとかいう用語を一切使わず、「空間コンピュータ」と呼んでいます。これはコンピュータに繋いで使う「デバイス」ではなく、「コンピュータそのもの」なのです。しかも、これまでのコンピュータやスマホの物理的な制約を外し、身の回りの空間すべてを使って業務を行い、エンターテインメントも楽しむことを目指した、まったく新しい体験を得ることができます。

コンピュータである証拠に、ハードウェアがこれまでのゴーグルとはまったく違います。まず、使われているCPUは、ハイエンドのMacなどと同じ「M2」というApple独自のCPUです。これにR1という新設計のチップが追加され、さらには片目あたり5K-6Kの解像度を持つディスプレイが2つ(両目用)搭載されています。このディスプレイが非常に優秀で、ワープロや表計算といった、これまでハイエンドのパソコンで行っていた作業を空間上で行うことができるのだそうです。いわばMacintoshに4Kディスプレイを接続(しかも2台!)したようなものです。それを考えれば、$3500という価格も決して高いものではありません。

Appleの目指す「空間コンピューティング」を実現するためには、そこまでのハードウェアが必要だった、ということなのでしょう。しかし、その機能や可能性は、実際に使ってみないとわからないとも言います。WWDCの後に記者向けの体験会が催されたそうですが、それに参加できた日本人記者はたった7人だそうです。そして、その7人が口を揃えて「これの真価は実際に体験してみないとわからない。」「この感動は文章にできない。」と言っているのです。

Vision Proは、日本では来年まで待たなければなりませんが、アメリカ国内では今年中に発売されるということですし、開発者向けのデバイスは先行して配布されるでしょうから、実際に目に触れる機会も増えるでしょう。みなさんも、チャンスがあったら是非、「Appleが示す未来」を体験してみてください。

大越章司

大越章司

大越章司おおこししょうじ

株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役

外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…

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