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2010年10月08日

銀座書斎の窓から見える”仕事人生における2つの様相”

私の書斎(銀座書斎)は、東京・銀座3丁目に位置します。銀座書斎は、生井利幸事務所の業務を行うための書斎。この書斎は、本来、わたくし生井利幸が静かに思索や執筆を行う場所ですが、同時に、この場所で、仕事における打ち合わせはもとより、一般の人々を対象とした教養講座・レッスン・茶話会等、随時、様々な文化的活動を開催しています。

筆を執っている今は、日曜日の朝。爽やかな秋晴れを満喫できるこの素晴らしい朝において、銀座書斎の窓からは、実に様々な人々が歩いている姿を見ることができます。

書斎の窓から歩いている人々を眺めていると、その様相について、大きく二つに分けることができます。

一つの様相は、犬を連れて朝の散歩をしている人々、または、ジョギングをしている人々の姿。あるいは、高級ブランドの洋服を身にまとい、休日の銀座で、日曜日のショッピングを楽しもうと朝方からやってくる人々の姿など。

そして、もう一つの様相は、ホームレスの人々の姿。彼らは、買い物客で混雑する時間帯に入る前の時間帯、即ち、朝方のうちに、彼らにとって居心地の良い場所に移動するのでしょう。

前者と後者から感じ取れる相違は、一見すると、天と地ほどの相違。しかし、実際、前者に属する人々においても、いつ何時、仕事を失い、どう試みても次の仕事を見つけることができず、借金地獄に陥り、やがては夜逃げ。気づいたときにはホームレス状態ということも想定可能です。

本来、ホームレスの人々は、生まれたときから”宿無し状態”というわけではありません。言うまでもなく、この世に生まれて最初からホームレスという人は存在しません。大抵の場合、大人になるまではごく普通に育ち、ある一定の時期までは”一社会人”(一納税者)として健康で文化的な生活をしていたわけです。ところが、そうした生活も、景気の低迷、会社からの解雇、会社の倒産などをきっかけとして、何らかの”経済的不幸”が来襲。気づいたら、”宿無し状態”となってしまったわけです。

以上の2つの様相を鑑みると、私たち人間にとって、「仕事がある」「働くことができる」という有様は、決して当たり前の事実ではないということを認識することができます。私たちの日常生活において、「今現在、しっかりとした保証の下で毎日働くことができ、且つ、健康で文化的な生活を楽しむことができる」という有様は、いつ何時、極めて不幸な事態に襲われ、そのすべてを奪われてしまう、という事態も起り得ることです。

以上の観点を踏まえて今回言及したいことは、”包括的リスクマネージメント”の根底にある精神とは、「今現在、いかなる状態であろうとも、決して現状に甘んじることなく、常に危機感を持ち、”謙虚な姿勢”・”真摯な姿勢”を基盤として誠実に仕事をしていく」というところに存するものであるということです。

「仕事人生を生きる」ということは、同時に、「常にリスクを抱えながら生きる」ということでもあります。「リスクを他人事として扱わない」「リスクは常に目の前にある」ということを肝に銘じて仕事をすることにより、ビジネスパーソンは、最も堅実な方法で、よりクオリティーの高い仕事をしていくことが可能となります。

「安心感に浸ることこそが最大のリスクである」という考え方は、東洋でも西洋でも、自らの歴史(あるいは、個々の人間の人生)を通して導き出すことができる”common sense”(常識)なのだと捉えます。

生井利幸

生井利幸

生井利幸なまいとしゆき

生井利幸事務所代表

「ビジネス力」は、決して仕事における業務処理能力のみを指すわけではありません。ビジネス力は、”自己表現力”であり、”人間関係力”そのものです。いい結果を出すビジネスパーソンになるためには、「自分自身を…

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