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2013年12月25日

部下の行動は何の結果か?

「部下のモチベーションが低い」というのは、上司の嘆きの定番ですが、モチベーションが高ければパフォーマンスが高まるというのものでもありません。逆に、やる気だけで成果が出せたらそんな楽な話はないわけで、部下のパフォーマンスを左右する要素として、モチベーション以外にもたくさん考えることができます。

まずは、知識やスキル。当たり前と思われるかもしれませんが、昔に比べれば、仕事はかなり専門化、高度化、細分化されていることを見逃してはいけません。部下を嘆く上司の人たちが若かった頃に求められた知識・スキルと、現在の若手に求められるそれは、かなりレベルが違うのが実際です。10年、20年かけてだんだんと進化させてきたので、ずっと仕事をしてきた人には気付きにくいことでしょうが、一人前になるのも、エキスパートになるのも、時間がかかる状況になっています。

次に、目標設定。上司がどのような目標を与えるかで部下のパフォーマンスは違ってきます。経営から降りてきた数字を割り振って、そのまま部下に伝えただけといった状態では、部下がやる気にならないのは当然。パフォーマンスが悪い、モチベーションが低い原因は、ひょっとして与えている目標が悪いからかも・・・と考えてみる必要があります。部下のやる気に火をつけられるような、個別性が高く、成長や働きぶりといったことにも配慮した、絶妙の目標を与えることができるかどうかはマネジャーの腕の見せどころと言えるでしょう。

教養や価値観も関係しているはずです。成果を上げるのに必要なのは、業務遂行に直接関係する知識や技術だけではありません。仕事に関係のない様々な分野に関する情報・知識、それまでの人生の中で培ってきた知恵や見識、モノの見方や考え方、行動の規範や原則などがしっかりとあるからこそ、お客様や職場の人たちと良好な関係を築くことができるのであり、その時々に応じて自律的に行動できるのだと思います。

職場の空気も重要でしょう。同じ力量を持っていたとしても、どのような職場で、どのような人たちと働くかによってパフォーマンスは大きく変わってくるはずです。どのような雰囲気が良いかは人によって違いますし、業種やビジネスモデルによっても異なるでしょうから、一概には言えませんが、一人一人の言動が作り出している空気を常に良質なものに保ち続けようとする努力は欠かせません。

プライドの問題も大きいと思います。自分の担当している仕事は重要で、一生懸命に取り組むに値する仕事だと感じる。自分の職種、自分の属する組織・会社には社会的な意義があり、お客様や世の中を幸せにしていると思える。頑張ろうという気持ちになるためには、このようなプライドが必要です。自分が手を抜いたって大勢には影響しない、自分の組織や会社などなくたって誰も困らないなどと考える、思い入れの全くない人が頑張って成果を出すはずがないからです。ここ20年ほどで従業員の会社への帰属意識がすっかり薄くなり、愛着や求心力は極端に低下したように見えますが、仕事に対するプライドまで低下してしまってはいけません。

他にもありそうですが、いずれにしても、部下のパフォーマンスを左右する要因は複雑・多様であることが分かります。部下が思い通りに成長しない、成果を上げてくれないという状況に対して、何でもモチベーションのせいにしているような議論をよく見ますが、真の問題は何なのか、よく考える必要があります。

川口雅裕

川口雅裕

川口雅裕かわぐちまさひろ

NPO法人「老いの工学研究所」理事長(高齢期の暮らしの研究者)

皆様が貴重な時間を使って来られたことに感謝し、関西人らしい“芸人魂”を持ってお話しをしています。その結果、少しでも「楽しさ」や「気づき」をお持ち帰りいただけていることは、講師冥利につきると思います。ま…

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