前回、ハルシネーション対策としてのRAGのお話をしましたが、RAGはハルシネーション対策以外にも活用されています。その最も有効な活用例が、「企業専用AI」です。
生成AIはネット上の膨大なデータを学習してAIモデルを構築しますが、この仕組み上避けられない問題として、
- モデルの学習には長い時間がかかるため、最新の情報に対応できない
- ネット上のデータが必ずしも正しいとは限らない
ということが挙げられ、これらを改善するための技術としてRAGが考案されたことは前回のコラムでご紹介しました。ところが生成AIにはまだ死角があります。それは、
- ネットに無い(あるいは非公開の)データは学習できない
ということです。それ自身は仕方のないことではありますが、これにはプライベートなデータや社内文書など、あえて外部に公開していないデータも含まれます。たとえば「そういえば、うちの会社の出張旅費規程ってどうなっていたっけ?」と思って調べようとしても、その規定が外部に公開されていない限り生成AIには学習されず、その結果正しい答えではなく他社のデータが表示されてしまうことになりかねません。
ここでRAGの仕組みを使えば、社内のドキュメントを生成AIに読み込ませて回答精度を上げることができます。旅費規程のような個々の企業に固有の情報に関しては社内DBを優先的に検索して答えを出す、ということにしておけば、間違った答えを出してしまう可能性は激減します。それに、総務部が作った規定がそのまま使われるのであれば、情報そのものが間違っている可能性はほとんどないでしょう。
そしてその際、社内のデータは外部に公開したり送信したりしないように設定し、生成AIへの問い合わせも社外に出ていかないように設定することが可能ですから、機密情報の流出やプライバシーに関連する問題も回避できます。
こうして、「安全に使えて間違いも少ない自社専用AI」を構築することができるのです。ハルシネーションや情報流出、プライバシーなどの生成AIに纏わる課題を低減しながら業務効率を確実に向上させることができるため、企業のAI活用の中心的な役割を担うようになっています。


大越章司おおこししょうじ
株式会社アプライド・マーケティング 代表取締役
外資系/国産、ハードウェア/ソフトウェアと、幅広い業種/技術分野で営業/マーケティングを経験。現在は独立してIT企業のマーケティングをお手伝いしています。 様々な業種/技術を経験しているため、IT技…
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