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2026年04月01日

人手不足でも採用を絞る?~26年卒から見える、新しい採用モデルへの転換点

今まさに、新入社員の受け入れ、研修で忙しい時期ではないでしょうか。企業の教育も今の時期は、新人が中心、そして配属先も受け入れに追われていることと思います。

そんな中、2026年卒の学生の採用対策は、どうなっていくのでしょうか。次年度も採用を増やしていくのでしょうか。または、維持していくのでしょうか。

マイナビの調査では、2026年卒で「採用を減らす」と回答した企業は5.4%と少数であり、全体としては採用意欲の高さがうかがえます。ただし、少ないながらも採用縮小を明言する企業が出てきているのも事実です。そのため、採用意欲は全体として維持されつつも、従来の大量新卒採用モデルには少しずつ変化の兆しが見え始めている、と捉えることもできそうです。

今年度までは、少子化が見込まれ、労働力不足を解消することが課題でした。リーマンショック期(2008〜2010年)に新卒採用を大幅に絞った結果、ご存じの通り今の日本では「構造的な人材不足」と「世代の空洞化」が起きています。単なる一時的な影響ではなく、15年以上たった今も中堅層の不足、管理職の空洞化、技術継承の断絶など企業経営に深刻な影響を与え続けている“長期的な後遺症”となっています。そういった過去の「反省」から、景気に左右されずに、毎年新卒を受け入れる企業が増え、いわゆる学生の売り手市場となっています。

しかし、今後新卒採用を多く採用することに変化が起きる可能性が「採用を減らす」と回答している5.4%の企業の理由から見えてくるかもしれません。

採用を減らす企業例として、

・富士通 新卒一括採用を廃止(人数は縮小方向) 「削減」というより、通年・職務別採用へ全面移行、従来の大量一括採用をやめるため
・大和ハウス工業 約80%減 適正人員の見極め、DX推進、初任給引き上げ後の構造調整するため
・TOPPAN 約30%減 ジョブ型雇用への移行、AI事業へのシフト、中途採用強化などのため
・パナソニック 新卒採用を減らし、技術系は学校推薦を廃止し、自由応募に一本化
・クボタ 75%減 大卒の技術系・事務系を大幅削減

新卒採用人数の削減は「景気悪化」だけではなく、企業の採用戦略そのものが構造的に変わっていることが背景にあるようです。新卒採用を減らしている企業の背景として以下のような理由が考えられます。

  1. 採用の「通年化」・「ジョブ型化」への移行
    日立は2027年度の新卒採用は前年比プラス35名、と850名と増やすことを予定していますが、減らす富士通と共通しているのは従来の4月一括採用をやめ、通年採用・ジョブ型採用へ移行していくという策です。つまり、「毎年決まった人数をまとめて採る」必要性が薄れているようです。
  2. 人手不足なのに「新卒だけ大量に育てる」モデルが限界
    日本は深刻な労働力不足が続いていますが、企業はDX・AIによる業務効率化に向け、「即戦力の中途」「専門スキルを持つ人材」をより重視する方向にシフトしています。
    特に IT・技術系はスキルベース採用が加速し、学歴よりスキルを重視する傾向が強まっています 。
  3. 初任給の大幅引き上げ
    優秀な新卒採用を獲得るためにも初任給を全般的に引き上げている傾向が見受けられます。
    給与引き上げと同時に採用数を絞る例として大和ハウスがあげられます。
  4. 経済環境の不透明さ
    世界的な金利高、円安、国内消費の弱さなどから、「固定費(=正社員の大量採用)を抑えたい」企業が増加。

そんな中、若手がキャリアを考えるうえでは、「一社に賭ける」発想から、「自分の市場価値を育てる」発想への転換が不可欠です。 若手がキャリアを考えるうえで必要な視点として、

  1. 「会社に選ばれる」から「自分で選べる状態をつくる」へ
    通年採用・ジョブ型採用が広がるほど、 スキルを持つ人はいつでも転職できる世界になります。若手が意識すべきは
    ・自分の専門性
    ・ポータブルスキル(論理思考、コミュニケーション、デジタルリテラシー)
    ・実績(インターン、プロジェクト、作品、GitHub など)
    を早期に積み上げること。
  2. 自ら「学び続ける習慣」
    従来の日本型雇用は、新卒一括採用、配属ガチャ、長期育成 が前提でした。しかし今後は、入社後すぐに成果を求められる職種が増加していきます。 特に IT・デジタル領域は顕著です。自ら「学び続ける習慣」がキャリアの生命線となっていくでしょう。
  3. キャリアの軸を複数持つ
    1つの軸だけだと不安定な時代です。1.で意識すべき、とあげた専門性ですが、これだ、という専門性を磨いたとしても、それがITされてしまうこともあるでしょう。いくつも走らせておくことで、組み合わせたり変化させたりしながら柔軟に生きていく必要があります。

一方で、我々が若手に向けてすべき必要なサポートは何でしょうか。

  1. キャリア教育の早期化
    大学3年からでは遅いと言われています。1〜2年生からのキャリア講座の実施、社会人との交流やプロジェクト型学習 が必要となっていきます。
  2. メンター制度・キャリアコーチング
    若手は「何を基準に会社を選べばいいか」が分からないので、社外メンター、OB/OG訪問、キャリアコーチングなど、第三者の視点サポートが必要です。
  3. スキリング支援
    企業側も、若手がスキルを磨けるよう学ぶ機会を提供する必要があります。社内外研修、資格取得支援を整備する必要があります。

新卒採用の縮小は「若者にとって不利」ではなく、“スキルがある人にはチャンスが広がる時代”への移行です。私たち先輩が、若手のキャリア支援を担うのであれば、「情報提供」よりも“経験を積める場づくり”が価値を持つかもしれません。ゆっくり育成から早期に経験が大事な時代のようです。即戦力化がキーワードです。

藤井佐和子

藤井佐和子

藤井佐和子ふじいさわこ

キャリアアドバイザー

個人と企業からの依頼によるキャリアカウンセリングは、延べ17,000人以上の実績。学生からシニア層まで年齢や性別を問わず、自分らしいキャリアデザインをするための選択とアクションに向けたカウンセリングを…

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