第7回「やる気の伸ばし方」
5回目で褒め方について解説しましたが、今回はさらに進めてやる気の伸ばし方についてです。昔のようにほぼ皆が「少しでも高い給料、少しでも上の地位」を目指していた時代と違い、令和ではもう少し繊細な対応が求められています。
君をいつも見守っているよ
まずは相手に関心を持つこと、そしてそれをタイミングよく相手に伝えていくことです。部下との何気ない雑談から、相手の性格や関心事、仕事の進み具合などを把握する必要がります。以前、ある会社の20代スタッフと話したときのこと。その会社ではリモートワークが進み、ふだん上司と顔を合わせることがないのですが、自分が担当していたイベントが終わった次の日に「昨日は大成功だったね。ありがとう」とメールをもらえると「ちゃんと自分を見ていてくれるんだ」という思いが伝わり、やる気が出るといっていました。
なぜこれが効果的かというと、職場の「心理的安全性」に繋がっているからです。自分がここにいていいんだ、自分の存在価値を認めてくれているんだという思いが社員にわくのです。社員がどんどん辞めていく会社ではこうした上司の行動の積み重ねがありません。ぜひ部下の行動に関心を持ち続けフィードバックをし続けてください。
小さな成功の積み重ね
「4.仕事の教え方」でも触れましたが、できるだけ成功の体験をさせてあげること。この点については議論の余地があり、失敗から学ばせることも大事だ、という考えも理解できます。ただ気を付けていただきたいのは、最近の若い人は失敗に対するストレス耐性が少ないように感じています(あくまで個人的見解ですが)。少しお客様とトラブルになったり、1つのプロジェクトがうまくいかないだけで自信をなくし、会社に来なくなってしまうケースが決して珍しくありません。相手の人柄や性格を見て、多少の失敗を体験させても大丈夫か、そこを読み取ることが大事です。
もし部下が失敗したら…
失敗からやる気を起こさせる…これは一見難しそうに聞こえるかもしれません。昔なら、ライオンが子を崖から突き落として這い上がってくるのを待つようなスタイルを貫く上司が多かったかもしれませんが、令和のいま、世のリーダースタイルはサーバント型です。部下の失敗を突き放して見守るのではなく、積極的に関与していって「どうやって解決していくか」の道筋を一緒に考える。もちろん、すべて肩代わりするのではなく、できるだけ本人に動いてもらいます。そうやって「共に解決」していくことで、上司への信頼も生まれますし、部下の失敗を一つの成功体験に変えることができるはずです。
目標の設定方法
これも相手のスキルをよく見てですが、やる気にあふれ、失敗へのストレス耐性も強いような部下なら、一見無理そうな目標でもよいでしょう。そうでない場合は、あまり高い目標を与えても、達成できず→落ちこむ→自己肯定感を失う→やる気がなくなる→辞める、の悪循環に陥っていくので、少し頑張れば達成できそうな目標のほうがよいと思います。それが本人の成功体験に繋がれば自信になり、少しずつ高みを目指していけるはずです。
サプライズは効果的に
突然仕事量が増え、課をあげての残業になったり、リモートワークの社員に急な仕事を頼まざるを得ないケースもあるでしょう。そうしたとき、部下は口に出さずとも「急に言われてもこっちの予定もあるし困るよな。でも上司だから仕方ないよ」という思いがあるはずです。この影なる声を無視してはいけません。こうしたことが起きた際には、折を見て「こないだは助かったよ。悪かったね」と声を掛けたり、毎回は必要ないですが年に一度くらいはサプライズで感謝の気持ちを伝える機会を作ったり、そういう心づかいが部下をつなぎ止め、やる気の維持に繋がっているのです。
さて、部下のやる気を伸ばすアイデアをつづってみましたが、いかがでしたでしょうか。上司の関わり方ひとつで部下は変わります。今回の内容が、上司の皆様と部下との関係を見直すきっかけになれば幸いです。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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