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2009年04月01日

イチローが奇跡を起こせる理由

4月といえば年度始め。いわば心機一転新たなスタートを切る月であります。期待と不安の入り混じった気持ちでいらっしゃる方は多いのではないでしょうか。

さて、そんな中、私自身も目標と言いましょうか「こういう人で在りたい」と心に思い描いている人物像があり、この4月からはその人物像に近づくべく、さらにパワーアップして頑張ろうとスタートを切りました。

テレビを観て感化されたといえばズバリその通りなのですが、その人物とは?皆さんの記憶にも新しいと思います。そうです。WBCのあの優勝をかけた韓国戦で決勝打を打ったイチロー選手です。あの局面で、あのタイミングで打席が回ってくること自体が神がかり的な確率であると思うのですが、運を自分に引き寄せ、そして、なんと言っても不振にあえいでいた中で皆が待ち望んでいた結果を出すことができる勝負強さは、まさに憧れです。性別に関係なく「私もこのような場面で力が発揮できるような人で在りたい」と、感銘を受けました。

しかし、人間が生きていく上で、イチロー選手のようにドラマチックな展開ばかりではありません。そんな時、「そういう星の下に生まれた人は特別なんだ。いくら望んだって私たちとは根本が違う。」と、私は片付けたくないと思っています。奇跡的だと言われるような何かを成し遂げられる人には、必ず理由があるはずです。ただ待っていて努力もなしに出来ることなんて有り得ないと思います。それを裏付けるように、練習の取り組み方は誰よりもストイックだという話をよく耳にしますし、WBCでも「イチロー選手は誰よりも先に球場に来て、フリーバッティングをしていた。」と秘話が明かされていました。

たとえベテランであっても、自分にとって必要とあらば、形振り構わずまるで若手の頃のように特打ちの練習に取り組む姿は、本気で「不振から脱出する」という強い気持ちの表れた行動だと思います。不振からの脱出の糸口は、あらゆる手を尽くして、知恵も出し尽くして、這い上がる以外に楽になれる方法論がないというところまで自分を極限に追い込まないと掴むことはできないと思います。極限状態の中にこそ、研ぎ澄まされた感覚が生まれ、普通であれば見落としてしまうような繊細な感覚の変化を得られます。つまり極限状態の中にしか糸口はないという判断で、とことん落ち込み、とことん練習をされたのだと思います。勝手ながら私はそう思いました。なぜなら、私が現役選手だった頃もそうだったから。

そして、自分に素直であるということが最も大切なことなのかもしれません。自分が不振のときはそれを取り繕わず、ごまかさず、むしろ自分は不振であるとちゃんと受け入れる。その上で心底自分を不甲斐なく思い、ベテランであろうが若手であろうが純粋に野球に向かう心そのままに「悔しい」と素直に認める。本気の悔しい思いは原動力になる。そうすれば、今までの自分を超える力を発揮できる。私はそう思います。

何度も繰り返すようですが、誰もがヒーローやヒロインを待ち望む場面や、しかもそのヒーローとヒロイン役が自分というのは、そう簡単に巡ってくる訳ではありません。しかし、巡ってくるものでないのであれば、それを引き寄せられるぐらい凄まじいパワーや吸引力を自分に身につけたいと思います。そしてその結果、真のヒーロー・ヒロインになるためにはそこで成功をしなければなりません。精神的、身体的にとても疲れる挑戦だと思いますが、その挑戦権を得るか得ないかは自分次第。私は挑戦権を得たいと思うので、これからもバリバリ頑張りたいと思います。

新入生、新入社員、新たな環境で何かを始める方、のみならず皆さんそれぞれが人生の主役です。ヒーローキャラでないとご自身が思う方でも、大なり小なり必ず何かに挑戦しなければならない局面はやってくると思います。ならば自らがその挑戦の最高の結末を得られるようにコントロールしていたいと思われませんか?そのときは自分に素直になって、とことん自分と向き合って、その勝負にぜひとも本気で向かって行って頂きたいです。それが人生の醍醐味の一つなのかな、と皆さんにお伝えしながら、自分にも言い聞かせています。さぁ新年度、頑張って参りましょう!

武田美保

武田美保

武田美保たけだみほ

アテネ五輪 シンクロナイズドスイミング 銀メダリスト

アテネ五輪で、立花美哉さんとのデュエットで銀メダルを獲得。また、2001年の世界選手権では金メダルを獲得し、世界の頂点に。オリンピック三大会連続出場し、5つのメダルを獲得。夏季五輪において日本女子歴代…

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