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2007年03月15日

イビチャ・オシム(3)

新年度が間近に迫ってきました。
花粉症に苦しんでいる方も、まったく影響ない方も、
新しい出会いには期待と不安が交錯し、不思議な感覚にとらわれるものです。

考えてみると、オシム監督とわれわれの出会いも不思議なものでした。
過去の名選手やエキセントリックな外国人に対する免疫はできていましたが、
オシム監督のような”言葉の魔術師”に出会った経験はありません。
しかも、逆転の発想の数々…。

さて、今回は「逆境にくじけない強靭な精神力」に関するお話です。

「たとえ選手(部下)がミスしても使い続けることだ。
一度のミスを必要以上に追及し、冷遇したとしよう。
その選手はミスを犯すことを恐れ、自分の殻に閉じこもってしまう」

大半の日本人にいえることですよね。失敗した部下を徹底的に糾弾する…いうなれば”パワーハラスメント”です。もちろん、叱ることは必要です。ひとりのミスを見逃すと、組織の崩壊にもつながりかねません。ただしミスをしないということは、なにもしていない、チャレンジ精神に欠けるとも考えられるわけです。基本的に、失敗は頭に残ります。だからこそ、その原因を正確に汲み取り、”過失”と”失敗”を明確にすることが、上司の使命ではないでしょうか。

「勝利はなにも教えてくれない。大切なのは敗北だ」

順風満帆のとき、人は無意識のうちに手を抜くそうです。
「グサッ!」痛いですね。かくいう私も、昨夏のワールドカップまで散財し、
サッカー界のバブル崩壊とともに緊縮財政を迫られています。
しかも、どこのプロダクションにも所属していない”完全フリー”ですから、
将来に不安を抱きながらの毎日なわけです。

しかし、底を経験した人間は、上昇するしかありませんよね。どんなに落ち込んでも、よほどのことなければ命は奪われません。並みの人間は、低迷する自分に落胆し、周囲の手助けを待っていますが、一流と呼ばれる人たちも絶望の時代に多くを学び、みずから切り開いて今日の地位を築きました。流れに身を任せるというと語弊があるかもしれませんが、あまりジタバタせず、スランプと楽に向き合うべきなのでしょうね。

「いちばん厳しいときほど、笑うべきなのではないかな」

数字が目標値を下回り、セクション全体のムードが落ち込むときも少なくないはずです。そのとき、上司はどのように対応すべきでしょうか。努めて明るく振る舞い、元気を失った部下を叱咤激励しなくてはなりません。部下のすぐれた部分を評価し、折れそうな心を支えるのが上司の役割ですね。逆境にもくじけず、周囲への配慮を怠らない上司を部下はリスペクトするでしょう。新橋あたりの立ち呑み屋で焼酎をあおり、ストレスを解消するのも悪くはないですよ。たまには現実逃避し、気分転換してみたらいかがですか。怖い顔をしてパソコンとニラメッコしていても、グッドアイディアは浮かびません。

オシム監督の言葉はストレートです。哲学的ではありますが、難しい語句を並べ、マスメディアを煙に巻いたりすることはありません。それでも重みがあり、組織が、個人が成功するうえでのヒントが数多く隠されています。もちろん、私もオシム監督の言葉をかみ締め、現状打破を画策しておりますが、やはりまだまだ凡人なのですね。スランプとはうまく付き合えていません。

では、また来月。オシム監督の魔術に酔い、人生の糧にしましょう。

粕谷秀樹

粕谷秀樹

粕谷秀樹かすやひでき

ジャーナリスト

サッカー解説者人気ランキング2位!(エル・ゴラッソ紙より) 「日本スポーツ企画出版社」にて週刊サッカーダイジェスト副編集長、月刊(後に月二回刊)ワールドサッカーダイジェスト初代編集長、同社の編集局次…

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