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2007年02月15日

イビチャ・オシム(2)

真冬のはずなのですが、私が住む東京は1月27日の時点で雪が降っていません。
天気予報によると初雪は例年より一か月ほど遅く2月初旬になるそうです。
まぁ、銀世界と形容できるような大雪に見舞われると、都市機能が麻痺します。
東京に関しては、綺麗な景色も考え物かもしれませんね。

それでは前回に続き、オシムの言葉からリーダー論を研究していきましょう。今回のテーマは、部下のポテンシャルと自主性を導き出すためには、どのように対応すべきか―。こちらを探っていきたいと思います。

「たとえば、ジダンやロナウドが指示どおりに動いていなかったとしよう。
たしかに彼らはスターだが、間違っていれば指摘しなくてはならない。
私は自分の意見を言う監督だ」

リーダーは難しい仕事です。真正面から部下と向き合い、自分の意見を伝えなくてはなりません。逃げないリーダーは、必ずや部下の信頼を勝ち取ることでしょう。人望を気にする上司に限って、部下の顔色をうかがう傾向にあるようです。ところが、上層部にクレームをつけられるとあなたに責任転嫁……。ばかばかしくて、やってられませんよね。

「選手の顔色、気候条件、故障者の回復具合などは日に日に変化していくものだ。当然、練習内容も対応しなくてはならない。前日に考えても無意味なのだよ」

オシムは前日に練習内容を決定しませんが、決して怠慢なわけではありません。
選手のコンディションを十分に見極め、最も適合した練習法を探っています。

このやりかたを企業に当てはめてみましょう。
マニュアルに固執した方法論は、システムの硬直化を招きます。
状況は刻一刻と変化していくわけですから、あらゆる場面を想定し、
柔軟に対応する術が上司にも部下にも求められるわけです。
応用が利かない人間は、いかなる社会でも通用しません。

「どんなチーム、選手にも、長所と短所がある。彼らの特性をどこまで伸ばせるか」

私もかつて管理職を務めていましたが、部下の特性を軽視し、
短所を矯正することばかり考えていました。厭な上司だったに違いありません。
しかし、オシムのようなすぐれたリーダーは、部下の短所に目をつぶることができます。

よくよく考えてみると、短所は武器にならないのです。
一人ひとりの長所を徹底的に導き出し、自信を植えつけていく―。
それが組織の成功にもつながるわけです。自らの特性に気づいた部下は、モチベーションを維持しながら仕事をこなすことが可能になります。

「リスクを冒す哲学をジェフ千葉の選手たちと共有し、ともにやっていけるのか」

人生の理想はローリスク・ハイリターンでしょう。
しかも現在は不景気ですから、何事につけてもリスクを冒すには勇気が必要ですね。ただ、仕事を成し遂げる際にはリスクを伴います。及び腰では何もできません。失敗を恐れずに成果を求めようと、オシムは言いたかったのではないでしょうか。

私事で恐縮ですが、ワールドカップ以降の日本サッカーは閉塞気味で、
我が家の経済事情も切迫してまいりました。
しかし、いまこそリスクを冒し、大きな成果を得るべく準備中であります。
ハイリスク・ハイリターンを狙ってみますね。

では、また来月―。

粕谷秀樹

粕谷秀樹

粕谷秀樹かすやひでき

ジャーナリスト

サッカー解説者人気ランキング2位!(エル・ゴラッソ紙より) 「日本スポーツ企画出版社」にて週刊サッカーダイジェスト副編集長、月刊(後に月二回刊)ワールドサッカーダイジェスト初代編集長、同社の編集局次…

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