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2020年12月10日

コロナ第3波の克服とワクチン

日本では新型コロナ感染の第3波が発生したと認識され、GOTOトラベル等の見直しが進められています。また、行政からはコロナ感染対策として、国民に対して3密を避けることを中心に、日常生活、社会生活全般にわたり改めて注意が喚起されています。
このような中、11月になりましてコロナワクチンの開発成功の報道が米国から伝えられました。コロナワクチンの登場はコロナの終息に向けて大きな期待が寄せられるところです。
今回は新型コロナに関する基本情報をまとめ、コロナ感染防止のための注意事項について触れるとともに、開発されたワクチンのコロナ終息への期待について述べます。

新型コロナ感染症に関する基本情報

当初はコロナについて十分な知識がなく、感染拡大が始まるとパニックの状態になりました。現在ではコロナに関して色々な知見が蓄積されて来ました。これからは正しい知識や情報の下に冷静かつ賢く対処することが大切です。コロナについての基本的な情報は次の通りです。

  1. コロナは気道感染症であり、多くの場合は無症状または軽症で自然治癒しますが、重症で死に至る場合もあります。基礎疾患を持っていたり高齢者の方の場合は重症化しやすくなります。
  2. コロナの感染経路は、咳やくしゃみによる飛沫感染、ウイルスが付着した手で鼻や目や口を触ることによる接触感染で、エアロゾル感染もあります。
  3. コロナの症状は、発熱、空咳、疲労、喀痰、息切れ、咽頭痛、頭痛、下痢などです。
  4. コロナの潜伏期間は、1~14日間とされ、WHO(世界保健機関)は平均値を5~6日としています。
  5. コロナは発症2日前ぐらいから人に感染させます。
  6. コロナウイルスは常に変異しており、ヨーロッパの第2波、日本の第3波も変異が原因の可能性があり、今後の調査研究が待たれます。

上述の内、多くの場合にコロナの陽性になっても無症状のまま治癒することと、発症した場合には発症の2日ぐらい前から人に感染させることは、個人の日常生活や感染防止において大切な情報です。

感染リスクが高まる5つの場面

第3波によりコロナ陽性者が急増した事態に対して、11月9日に政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会から、次のような感染リスクが高まる5つの場面が示され、特段の注意が喚起されました。会食においては、極力3密を避け、飛沫を受けないことが重要です。

  1. 飲酒を伴う懇親会等: 回し飲みや箸の共有が感染リスク
  2. 大人数や長時間に及ぶ飲食: 接待を伴う会食、深夜のはしご酒
  3. マスクなしでの会話: 昼カラオケ、車やバスの移動
  4. 狭い空間での共同生活: 寮やトイレ
  5. 居場所の切り替わり: 休憩室、禁煙所

会食での感染防止に5つの小

新型コロナの新規陽性者などが増加しているとして、11月19日に都知事は会食時の取り組みのキーワードとして5つの小(こ)を提唱しました。そのうちの4つを次に示します。コロナ感染が起こる可能性が強い会食における一層細かい注意事項が示されています。

  1. 会食は是非少人数
  2. 会食はできれば小一時間
  3. 会食は小声で楽しんで
  4. 料理は小皿に分けて

一層のコロナ感染防止法

コロナ感染防止のため、政府等から一層細かいことにも注意が喚起されています。そのいくつかを下記に示します。

  1. 夜の会食と同じように昼のランチ時にも十分な注意を払う
  2. 会食事は話をしない
  3. 会話をする場合はマスクを付けて
  4. マスク着用は最大のワクチンと心得る
  5. 会食ではマスクを常時付け、飲食をするときにはマスクをずらして行う

感染防止とともに社会・経済活動の回復が行われてこそ、コロナを克服したと言えます。飲食店において、店側も客も上述の注意事項を徹底して守れば、感染を相当防ぐことができると思います。今一度、4月に緊急事態宣言が出たときの緊張感を思い出し、国民が気を緩めることなく感染防止の取り組み、その結果早期にコロナが終息し、以前のような経済の活気が取り戻されることを期待いたします。

米ファイザー社と独ビオンテック社のワクチン開発

11月9日に米国のファイザー社とドイツのビオンテック社が新型コロナのワクチン開発に成功したと報道されました。開発されたワクチンは臨床試験で感染を防ぐ有効率が95%を超えたとされています。現時点で安全性を巡る重大な懸念はなないとのことで、ワクチンの免疫効果は1年間持続するとの見方が示されています。
ファイザーは11月20日に、このコロナワクチンの緊急使用許可を米食品医薬品局に申請しました。12月中旬までに緊急使用の承認を得られるとみており、ファイザーは承認後早ければ12月11日からワクチンの配布を開始する予定です。ワクチンにより人口の70%ほどが免疫を獲得すれば生活が正常に戻ると指摘されており、その時期について2021年5月ごろと予測されています。
日本は既にファイザー社と英アストラゼネカ社から日本国民全員分の接種に向けて供給を受けることで合意しています。もし、ワクチンで健康被害が生じた場合、製薬会社の代わりに日本政府が賠償する方向です。

米モデルナ社のワクチン開発

11月16日に米国のモデルナ社はコロナワクチンの開発に成功したと報道されました。開発したワクチンは95%近い有効性を示す初期結果のデータが得られたとのことです。米国の当局はモデルナのワクチンをスピード認可し、年内にも米国で配布を開始する考えを示しています。
モデルナと前述のファイザーは、ともに高度に革新的で実験的な手法によってワクチンを開発しました。ファイザーとモデルナのワクチンは、ウイルスの遺伝情報をヒトに投与し、体内でウイルスのタンパク質を作らせることによって免疫を誘導します。このようにヒトの体をワクチンの製造工場として機能させるという考えは、かつては異端とされていました。しかし、ファイザーやモデルナはこの手法によりコロナワクチンの開発に成功しました。
両者のワクチンのコロナ感染封じ込めへの期待が高まる一方、ワクチンの流通については大きな問題が残されています。ファイザーのワクチンはマイナス70度の超低温で、モデルナのワクチンもマイナス20度で保管しなければなりません。いずれも温度変化に弱く、劣化しやすいメッセンジャーRNAという遺伝物質が入っているためです。冷蔵庫で最長1年間保存可能なインフルエンザワクチンと違って、両社のコロナワクチンは輸送にも保管にも厳密な温度管理が必要です。特に、日本国内の隅々までファイザーのワクチンを運搬して保管するためには、マイナス70度の低温装置を早急に準備、普及する必要があります。

冷静な目を持ってワクチンへ期待を

ファイザーとモデルナのワクチンに関する情報は、現時点ではいずれも報道機関向けの発表にすぎず、正式な研究論文が専門家の審査を経て学術専門誌に受け入れられたものではありません。そもそも、一般にワクチンの開発には少なくとも4年はかかると言われています。副作用などが起きないかなど、安全性の検証に十分に時間をかける必要があるからです。即製のワクチンに対しては常に警戒心を持っておくことが必要です。
なお、今回のファイザーとモデルナのワクチンは世界から大変関心が寄せられていますが、実はロシアも中国も既にワクチンを開発したと発表しています。ロシアと中国のワクチンの詳細は十分には報道されていませんが、ロシアは希望する国にはワクチンを提供すると表明しています。今後の動向を注目したいものです。
短期間で開発されたファイザーとモデルナのワクチンに対して安全性と有効性などに冷静な目を持ちつつ、ワクチンがコロナ感染の終息に大きな役割を果たし、一日も早く生活や経済活動が平常に戻ることを期待致します。

進藤勇治

進藤勇治

進藤勇治しんどうゆうじ

産業評論家

経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…

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