目次
現在日本においては多くの企業や団体がSDGsに取り組んでおり、優れたSDGs活動を表彰するためにジャパンSDGsアワードが制定されています。今回はSDGsの活動事例としまして、ジャパンSDGsアワードを受賞した企業や自治体の取り組みを紹介いたします。
SDGsの取り組みにおける重要な5原則
SDGsにおいては次の5つの原則が定められており、SDGsの意義や価値を理解する上で極めて重要な原則です。個々のSDGs活動を評価する場合はこの5つの原則が重要視されますので、SDGsに取り組む場合はこの5原則を正しく理解し意識して活動することが望まれます。
- 【普遍性】:先進国を含め、全ての国が国内と国外の両面で行動する
- 【包摂性】:人間の安全保障の理念を反映し「誰一人取り残さない」包摂的な取り組みを行う
- 【参画性】:全てのステークホルダー(政府、企業、NGO、有識者等)が役割を持つ
- 【統合性】:社会・経済・環境は相互関連性があるため、統合的に取り組む
- 【透明性】:モニタリング指標を定め、定期的にフォローアップし、評価・公表する
ジャパンSDGsアワード
SDGsの達成に向けた企業・団体等の取り組みを促し、オールジャパンの取り組みを推進するために、ジャパンSDGsアワードが2017年に創設されました。このSDGsアワードには次の4つの賞があります。受賞件数は第2回(2019年)の数です。
- ・SDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞 1件
- ・SDGs副本部長(内閣官房長官)賞 3件
- ・SDGs副本部長(外務大臣)賞 3件
- ・SDGsパートナーシップ賞(特別賞) 8件
ジャパンSDGsアワードを受賞した活動事例
以下に、企業や団体におけるSDGsの事例としまして、ジャパンSDGsアワードを受賞した活動事例を3件紹介いたします。
A社(和菓子本舗)の活動事例
長寿企業であるA社は、地域の伝統文化の継承や地方創生に貢献した取り組みに対して受賞しました。 A社は創業398年の広島県内の和菓子製造販売会社で、熟練の菓子職人が離島の学校や山間部の障がい者支援学級、高齢者福祉施設などで菓子教室を実施しています。菓子作りを通した相互交流による循環型の郷土文化の継承と創造サイクルを実践しています。
企業戦略としてのCSV(共有価値創造)戦略を推進。瀬戸内地方における希少性と多様性とをもった地域リソースを活かした新たな市場開拓に挑戦しています。
A社の活動は、SDGsの17の目標の内、3、4、5、7、8、9、10、11、12、15、16、17に該当しています。また、SDGsの重要な5つの原則に関しまして、A社の取り組みは次のような評価を得ました。
- 【普遍性】:高齢者や子どもが中心の中小企業でも取り組めるSDGs活動は、地方創生のロールモデルとなり得る。
- 【包摂性】:全員参加型の商品開発と技能継承の促進。
- 【参画型】:地元の小中学校、離島や山間部などの孤立地域など声がかかれば何処でも菓子教・室を実施している。
- 【統合性】:企業ブランディングという事業的メリットと郷土文化育成という社会的メリットを同時に達成しうる。
- 【透明性と説明責任】:事業内容をウェブ上で公開している。
B社(印刷会社)の活動事例
B社はSDGs経営戦略を策定し、経営計画そのものに自社の本業で実現可能なSDGsを実装しています。「ゼロカーボンプリント」に加えて2020年までにごみゼロ工場を達成する活動を推進しています。
パートを含む全従業員を対象に社内ワークショップを実施し、各自の問題意識を全体共有した上でSDGsとの関連付けを行い、課題を解決するプロジェクトチームを従業員主体で立ち上げSDGsを推進しています。
その他、障害者支援活動、RE100へ向けた取り組み、子ども向けのSDGs工場見学ツアー実施、SNSやHPを使った積極的なSDGsの取り組みの発信等、地域の中小企業が全社員へのSDGs教育を実施し、ボトムアップ型でSDGs経営戦略を策定しています。
B社の活動は、SDGsの17の目標の内、1、2、4、5、6、7、8、10、12、13、14、15、16、17に該当します。
北海道下川町の活動事例
北海道の下川町は人口約3400人、高齢化率約39%の小規模過疎地域かつ少子高齢化が顕著な課題先進地域です。誰もが活躍の場を持ちながら良質な生活を送ることのできる持続可能な地域社会の実現を目指しています。
町の憲法とも言われる下川町自治基本条例に、持続可能な地域社会の実現を位置付け、(1)森林総合産業の構築(経済)、(2)地域エネルギー自給と低炭素化(環境)、(3)超高齢化対応社会の創造(社会)に、統合的に取り組んでいます。
具体的には、持続可能な森林経営を中心に適正な木材、木製品の生産と供給、森林の健康や教育への活用、未利用森林資源の再エネ活用、再エネ熱供給システムを核としたコンパクトタウン等を推進しています。
下川町の取り組みは、SDGsの17の目標の内、3、4、7、8、9、11、12、13、15に該当します。なお、SDGsの重要な5原則に関しまして、次のような評価を得ています。
- 【普遍性】:小規模自治体や国内における地方創生モデルになり得る。
- 【包摂性】:既住民のみならず、女性を始め多様な人々が移住。
- 【参画型】:バイオマスボイラ導入による燃料費削減効果額を基金に積み立て、社会的立場の弱い人への支援を実施。
- 【統合性】:バイオマス原料製造による熱供給システムを核としたコンパクトタウン化などにより統合的に解決。
- 【透明性と説明責任】:進捗管理機関及び内閣府設置の評価委員会から評価を受けるとともに、評価を踏まえた取組の軌道修正。
上述のA社とB社の取り組みは、第2回ジャパンSDGsアワードのパートナーシップ賞(特別賞)を受賞しました。北海道下川町の取り組みは、第1回ジャパンSDGsアワードの推進本部長(内閣総理大臣)賞を受賞しました。
今回紹介しました活動事例が、今後SDGsを始めようと考えられている方々に良い参考事例になることと思います。
追記:上述の活動事例の通り企業や団体におけるSDGsの取り組みは、SDGsの17の目標の1つ、もしくは複数の目標と結び付けられて取り組みが行われています。SDGsの17の目標は下記の講演依頼.comのサイトに記載されていますので、どうぞ参照しつつ活動事例をご理解ください。
進藤勇治のコラム「進藤勇治の産業・経済レポート最前線 SDGsの始め方」
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お役立ちコンテンツSDGs-私たちにできることーでは、「SDGsとは?」「SDGsにどのように取り組んでいけばよいのか?」といった多くの方が疑問に思っている事柄に関して進藤勇治氏はじめ他有識者にインタビューした内容、また企業や各種団体の取り組み例等、SDGsに関連することをご紹介しています。
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また、弊社には、SDGs(持続可能な開発目標)特集もございます。
「SDGs(持続可能な開発目標)」をテーマにした講演の講師をお探しの方はご参照ください。
進藤勇治しんどうゆうじ
産業評論家
経済・産業問題、エネルギー・環境問題、SDGs、コロナ問題をテーマとした講演実績多数! 経済・産業問題やエネルギー・環境・災害問題、SDGs、コロナ問題などについて最新の情報を提供しつつ、社会…
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