2016年12月15日

人づくりにおいてよくぶつかる「数々のジレンマ」

 人づくりには、常に迷いがつきものです。ある人は「管理したほうがいい」といい、ある人は「放っておいたほうがいい」というように、相対するふたつの価値観がぶつかりあい、いったい自分のケースがどうしたらいいのかがわからなくなるからです。

まず冒頭でふれた「管理vs放任」についてです。社員が少ないうちは、相手の能力や個性によって合わせていればよいのですが、何十、何百人となってくると、組織としてしくみを持ってなくてはなりません。人は指示命令によってがんじがらめに管理しようとするとやる気を失いますが、そうかといって「じゃあこの仕事任せたよ。好きなようにやってね」と言ってあとは放置、というやり方だと、縛りがないのでサボってしまう人が増え、組織としての効率は上がりません。

【管理vs放任】

これまで様々な組織を見たり海外の経営者の著書を訳したりするなかで、一番良いと思う方法は、「相手を信じて任せながらも定期的にフォローする」というやり方です。詳細についてはアメリカの大手通信会社、ベライゾン・ワイヤレスの元CEOの著書「叩き上げCEOが明かす結果にこだわる思考法」(日本経済新聞社、拙訳著)に詳しいのでご興味ある方はそちらをご参照ください。

このやり方は、まず部下に仕事を任せるのですが、定期的にレビューミーティングを入れ、進捗を確認しつつ、突然電話や訪問をして、様子を確認するという方法です。これにより、部下はいつ「どうだい調子は?」というトップからの連絡が入るやもしなれないので、自由にやりつつも気が抜けない、という状況を作り出すことができます。

マネジメント理論を学ぶと、マクレガーのX理論Y理論というのが出てきます。X理論は性悪説、Y理論は性善説です。人はもともと怠惰な生き物であるから管理すべき、やる気を出すには報酬が必要、というX理論に対し、Y理論は、人にはもともと良い仕事をしたいという動機や責任感が備わっているから、自主性を重んじれば結果を出してくれる、という考え方です。

 個人的にはY理論を信じたいですし、先進的な会社では、最大限に社員の自主性を尊重し、自宅での作業を認め、また給料以外で人をやる気にさせる仕組みをもつ会社も出てきてはいます。しかし大半の企業では、まだまだ管理と報酬が必要になっている現状を見ると、X理論だった20世紀のあとの21世紀は、「X理論+Y理論」の方法が時代に合っていると思います。

 その意味でも、さきほどの「任せてフォロー」方式は理にもかなっていますし、本人の自主性を尊重しつつ、上司の確認が入るので、仕組みとしてはよくできています。ぜひ導入を検討してみてください。

 次回は、このテーマの続編、人づくりにおいてよくぶつかる「数々のジレンマ―その2」をお伝えします。どうぞお楽しみに。