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2023年12月21日

これからの会社の在り方

第9回「これからの会社の在り方」

さて早いもので2023年も終わりに近づきました。2024年はどういう年になっていくでしょうか。コロナ禍も経て新しいリモートの働き方もほぼ定着しました。また一方では昭和の時代から繁栄を誇っていた様々な組織の問題がたくさん発覚し、膿が出続けた年でもありました。若い人たちの価値観もだいぶ変わってきました。そんななか、これから会社という組織はどういう姿であるべきか、2つの切り口から考えてみたいと思います。

1.何のためにこの企業は存在するのか?~パーパスの提示

いままで企業は利益を上げることを至上目的としてきましたが、いまの時代は経済的価値以外も重要視されています。「持続可能な…」という目的もそうですが、いま企業は「社会において何のためにこの企業が存在し、事業を展開しているのか」という目で選ばれているのです。これが企業のパーパスです。たとえばIT業界のサイバーエージェント社を例にとると、いままで掲げていたビジョンは「21世紀を代表する会社を創る」という漠然としたものでしたが、新たにパーパスとして「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」という文言を掲げました。新しい力、というのは若い人だけに限らず誰もがそれを発揮することができます。そして日本の閉塞感はインターネットというキーワードと結びついて、何か変化を起こしてくれそうな予感を感じさせます。とてもわかりやすいですよね。このように「うちの会社はこんなことを実現するために在るんだよ」というメッセージの明確さが求められる時代なのです。

2.社員の帰属意識、忠誠心をどう醸成するか

これまでは、会社には有形無形の価値がありました。有形なものでは、たとえばオフィスの立地。銀座の一等地やオフィスビルが立ち並ぶオシャレなところに会社があり、そこに毎日通勤できることがひとつのステータスでもありました。また無形のものでは、会社で毎日会う上司や同僚との人のつながりです。また会社のレクリエーション活動で一緒になる仲間などもいて、そういう人との交わりが会社への帰属意識や忠誠心を作り出す要因にもなっていました。

ところが、私たちはコロナ禍を経験し、働き方や価値観の多様性の時代を迎えました。リモートワークでもかなりの仕事ができるようになり、毎日オフィスに通わなくてもすむ人たちも出てきました。そうなると、上司や同僚と顔を合わせる機会が極端に減ります。自分の時間を大事にする若い人たちは会社の仲間と必要以上につるんだりはしなくなります。するとリアルで感じていた「自分はこの会社の一員なんだ」という感覚が極端に薄れてきます。有形の価値は必要ないし、無形の価値は感じにくいという時代なのです。こうしたなか、どうすれば社員の帰属意識や忠誠心を高めることができるでしょうか。

帰属意識については、ここは人のつながりが一番重要になってきます。ある金融機関では、せっかく新入社員が入っても毎年数パーセントが離職していくので、それを抑えるために対面の研修などを多くして、横のつながりを作る時間を多くとっているそうです。
また全員出社する日には、みなで何か共通の簡単なイベントごとをしたり、少ない機会でより人のつながりを意識させるような工夫をしている会社もたくさんあります。また、たとえオンライン上でも、全員に同じスイーツを宅配し、画面上で皆が同じスイーツを食べながら雑談をするようなそんなアイデアもあります。組織とは元々形がないものですから、それをあえて目で見せて感じさせるような工夫は必要です。

つぎに忠誠心ですが、忠誠心とは「自分の所属している会社や組織に対して、尊敬の気持ちをもって尽くすまたは服従すること。素直で偽りのない気持ちで相手に従う。献身の心」と辞書にあります。正直なところ、いまの若い人たちにこれを求めるのはとても難しいでしょう。元々定年までこの会社で、という考えはほぼなく、いまこの会社にいる理由は自分がこの会社に共感できるか、そして自分にメリットがあるか、のふたつなのです。
ですので、忠誠心をどう醸成するか、というより「所属理由」という言葉を使うほうが正しい気がします。

この「所属理由」はすなわち、なぜこの会社にいたいか、ということですよね。それは「働きやすさ」という言葉が一番合っていると個人的には思います。次回はこの「働きやすさ」についてふれたいと思います。

まとめ:これからの会社の在り方

  • いま企業は「なんのためにこの企業が存在し事業をしているか」が見られている
  • ビジョンをより具体的に表現した「パーパス」を掲げよう。若者はそこを意識する
  • 帰属意識は人のつながりで作り出す。出社時に人が交わるミニイベントを企画したり、オンラインでも同じスイーツを宅配するなどして「同じ船にいる感」を作るのも有効
  • 忠誠心はいまの若い人たちにはない。むしろ「働きやすさ」が所属理由である

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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