今回の事例は、どの業界でもあてはまるケースです。依頼があったのはとある外資系ブランドグループ企業のバックオフィス業務をまとめて処理する会社です。このグループでは、いくつかのブランドを持っており、それらの会社の経理や給与計算、スタッフ管理などをまとめて請け負っています。このように事務処理を別会社にしている企業グループは少なくありません。
研修のテーマ:「イノベーションを起こす考え方」
依頼の背景・課題:
通常、バックオフィスというのは、どちらかといえば後処理をするところ。前線の営業や販売スタッフが売り上げを立て、そのサポートをするというような立ち位置です。しかし今回ご依頼を頂いた会社の管理職の方の考えは「これからはバックオフィスの社員もただ受け身に流れてくる仕事をこなすだけでなく、自らも売上を立てていくという姿勢を身につけてほしい」というものでした。これは今の時代にマッチした素晴らしい発想の転換ですね。現にこうしたリクエストはほかの企業様からもしばしばあります。ただ、そうはいっても現場の社員の皆さんの意識はなかなか変わらない。そこで今回、各スタッフの考えにイノベーションを起こしてほしいということで、お声がけ頂いたという流れです。
ものの見方で斬る:
まず全体を前半と後半に分け、前半は「頭を柔らかくする時間」、後半を「革新的発想を生み出す時間」と分けました。前半はいつも行っている「ものの見方」の講義、そして発想を柔らかくするフレームワークなども紹介しました。後半はいよいよ自分の発想にイノベーションを起こす時間です。実際のビジネスでのイノベーティブな事例をいくつか紹介したのちに、自分の生活でできるイノベーションというお題を投げ、最後に今回のメインテーマである「自分が仕事で売上に貢献できるアイデアは?」というテーマで、グループディスカッションをして頂きました。ここで出てきたアイデアがとても面白かったです。たとえば、この会社ではグループブランドのすべての情報が集まってきますので、ほかのブランドで今月どんなものが売れたか、などのフィードバックをまとめて各ブランド店舗に戻し、売り方に役立ててもらうとか、知り合いで良さそうな人がいたら、人事部に販売スタッフとして紹介するというもの、またこうしたバックが欲しいなどというユーザーの声をまとめて伝える、などほかにも良いアイデアがたくさん出ました。
今後の展望:
この研修、とても手応えを感じました。いままで売上なんて私には関係ないと思っていた人たちに、急に売上を立てて会社に貢献せよと伝えても抵抗があったかもしれませんが、今回この研修の場を通じて、皆さんの意識の変革が必要であるというメッセージはしっかり伝わったと思います。そして、こうしたことを考えることにより、仕事が自分事となり、やればできることがたくさんあることに気づき、また会社に対する理解や愛社精神も高まる効果もあると感じます。
この場で出たアイデアのいくつかはぜひ実施されると面白いなと思います。皆さんの職場でも、サポートスタッフやバックオフィスで働いている人たちの意識改革、ぜひ取り組んでみてください。さて次回は、ある食品メーカーの研究所編をお送りします。どうぞお楽しみに。
川村透かわむらとおる
川村透事務所 代表
「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…
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