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2002年11月05日

コンプレックスは自分の原動力

 世の中で成功している人の話を聞くと、それはよくコンプレックスの裏返しだったりする。それがその人を頑張らせるエンジンになっていることがよくあるようだ。

 僕の場合は、それは「どもり」だったことだ。

1.国語の教科書を読めない自分
 
小学校の低学年ごろからか、僕は気づくとどもりがちだった。親が左利きを右に直そうとしたからか、不仲だった親のはざまでどきどきしていたのが悪かったのか、原因はわからない。しかし、言葉が思うようにでなかった。顔が引きつってしまい、動悸が激しくなってしまう。悲惨なのは、国語の時間だ。先生にあてられても、そこをスムーズに読むことができないのだ。皆それを見て、陰でクスクス笑っていた。とても口惜しかった。

 大人になってサラリーマンになっても、まだどもり癖は残った。恥ずかしい話だが、かかってくる電話に緊張してしまうのだ。サラリーマンの世界では、飲み会など、大勢の場で笑いをとるような、スピーディな話し方ができる人が人気者になる。でも、僕にはそれができなかった。面と向かって話していても、言葉に詰まりそうになると、それに気づかれたくないために、つい目を上のほうにそらしてしまう。いまだにこの癖は抜けない。

2.自分にとっての自信を探す
 
このように、誰でも普通にしゃべれる日本語さえ、普通にあやつることができなかった川村少年は、自信のかけらもなかった。そこでこう考えた。「日本語はだめだけど、英語なら、みな一斉に中学から始める。ならば英語で頑張れば、みんなを見返してやれる…」

 そんな思いもあり、英語を一生懸命勉強した。おかげで英語が好きになり、高2で留学もした。気がつくと、今では翻訳して本を出せるようになった。

 また、大勢の前で話すことができなかった僕は、これを何とか克服したいと思った。そこで私がしたことは「考える前に、まず行動すること」だ。考えるから「どもったらどうしよう…」と心配になる。だから、手を上げてから考える、前に出てから言うことを考える…というように、無理矢理体を先に動かすようにした。そうした繰り返しで、だんだんと場馴れするようになった。今では700人の前でも別にあがることはない。

 これらは自分に対するもののみかただ。問題から逃げるのではなく、見る角度を変えてほかのことをやってみる、または人より場数を踏む…。そうしているうちに、いつのまにか、ほかの人より優れた結果を出せるようになるものだ。

3.コンプレックスを武器に
 
これまでの自分を振り返ると、「どもり」だったからこそ、英語を頑張れた、「人前で話すことができなかった」からこそ、講演家になっている…など、自分のコンプレックスがあったからこそ、今の自分がある。もし普通に日本語をしゃべり、人前でもあがらない自分がいたら、きっと退屈な人生を送っていたかもしれない。

 この考えは、独立して講演をするようになってから、よりいっそう強まった。人はうまくいった話より、その人が倒産したとか、夜逃げしたとか、そういう苦労話のほうを喜ぶ。すると、かえってそういうコンプレックスがあってそれを乗り越えたという話のほうがおもしろいのだ。だから、今では自分のコンプレックスに感謝している。

4.コンプレックスは神様からの贈り物だ
 
もし、今の自分に何か引け目を感じることがあるなら、思いきってそれをオープンにし、それを逆手にとってしまうのもひとつだ。隠そうとするエネルギーは内向きで閉じているが、オープンにするエネルギーは外に広がり、明るさがある。パワーがある。僕も自分から逃げているときには力がなかったが、それに立ち向かい、逆に利用しようとしたときから、力がみなぎってきた。

 何らかのコンプレックスを抱えているあなた。本当に自分らしく生きているか?自分らしく生きるとは、自分に与えられたそれぞれの個性を生かして、それをうまく使うことではないだろうか。

 自分を卑下し続けても、何もいいことはない。どう考えても人生の時間は、同じように過ぎていく。ならば、自分のコンプレックスを嘆くより、逆にそれをメリットと考え、それを上手に使って自分を売り込む方法を見つけたほうが、より有意義だ。コンプレックスは、きっと神様から与えられた贈り物に違いない。いつまでも置いておかずに、ふたを開け、上手に活用しよう。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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