2002年07月05日

小さく考える

 よく、成功するには「大きく考える」ことが大事だと言われるが、本当にそうだろうか。

 僕はそうは思わない。逆に「小さく考える」ことこそ、大切だと考えている。


1.大きく考えると、自分にしっくりこない人
 もちろん、大きなビジョンを持つことは大事だ。そこからやる気がわいてくることもあるだろう。しかし、こう言われて、躊躇してしまう人も多いのではないだろうか。僕もその一人だ。小心者の僕にとっては、大きく考えると、それは自分にはできないことに思えてしまう。自分ごとでなくなってしまうのだ。


2.小さいこと=簡単なこと=できること
 ここでいう小さいこととは、つまり簡単なこと、自分にもできることを意味する。何でも小さく、単純化して考えると、自分でもできそうに思えるものだ。つまり、ものごとを「自分にもできそうな世界にもってくる」ことが大事なのだ。たとえば、いきなり株式会社を作るのは無理かも知れないが、個人事業ならすぐできる。またお店を出すのは大変だが、ネット上なら始められる。僕は1冊の本にアメリカで出会い、そのことを教えられた。


3.まずはできることから
 
「30日で自分のビジネスをはじめる法」(中経出版)は、僕が手掛けた2冊目の翻訳本だ。著者のグラポ氏は、失業中に、趣味の料理の腕前を活かし、個人宅へ出張して料理を作るシェフの宅配サービス、「ユア・パーソナル・シェフ」を始めた。ビジネスといっても、ただA4のチラシをパソコンのプリンタで印刷し、名刺を作り、コンドミニアムの前で配ったのだ。それが人気を呼び、その月に約30万円の売上になった。また、彼はレストランでかねてからウエイトレスなどのサービスが気になっていたので、自分のアイデアを元に研修プログラムを作り、「チッププラス」と名前をつけて、ホテルやレストランを売り歩いた。こんなレベルでいいのなら、誰でも仕事を作ることができそうだ。

 僕はそれまで、ビジネスというと、「資金、技術、経験」がないとできないと思っていた。しかし、この本を読んで、「なんだ、そんなことでいいのか」とほっとした。そして、「そんなことでいいなら、自分にも何かできる」と思い、ひとり立ちする決心がついたのだ。


4.自分でできることはたくさんある
 
そうしてみると、今までやりたくてやっていなかったことが山のようにでてきた。本を出す、連載を書く、講演をする、英語を教える、企画を売り込む......できない理由を並べるより、何ができるかを考え出した途端、ぱあーっと目の前の道が開けた。小さく始めることは簡単だ。それがやがてひとつずつ実を結び、だんだんと大きくなっていく。その過程は何ともいえない。誰でもこれまでの人生で人とは違うオリジナルの経験をしてきたはずだ。それは、自分では気づいていなくても、人からみればユニークな体験や知識のはずだ。それを活かして、何かできることは必ずある。


5.ひとつ先のドラム缶を目指す
 
アフリカの広大なサハラ砂漠には、道のかわりに1マイルごとにドラム缶が置かれている。砂嵐で前が見えなくても、とりあえず次のドラム缶をめざせば、やがては砂漠を横断することができる。ものごとも同じだ。まず、今の自分にできることをひとつずつやっていく。そうすればやがて大きな成果を手に入れることができるはずだ。


6.自分にあったもののみかたを
 
人により、行動するきっかけはさまざまだ。おだてられて木に登る人もいれば、叱られてこそ力がでる人もいる。小さく考えると動ける僕のような人もいれば、大きく考えるとうまくいく人もいる。要は自分が動きやすいもののみかたを選べばよいのだ。自分には自信も勇気もないという人は、何事も小さく考え、とりあえず目の前のドラム缶を目指してみてはどうだろうか。一歩ずつ、一歩ずつ。やがてふと振り返ったとき、そこにしっかりとした実績が刻まれているはずだ。

 最後に、かつての米国大統領、セオドア・ルーズベルトの言葉を紹介したい。

  Do what you can, with what you have, right where you are.
  (今いるところから、自分が持っているもので、できることをやろう)

 僕はこの言葉にいつも励まされる。
 この言葉をいつも胸に抱きながら、自分にできることをやろうと常に思っている。