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2011年11月04日

責任感を考える(前篇)

「いまの子たちは責任感がない」「責任感を教えるのが難しい」という声をよく聞きます。私たちの世代(40代)からすると、責任感なんて当たり前のことのように思ったのですが、それを持たずに大きくなってきてしまった世代(全員ではないですが)に向けて、どう責任感を説明したらいいのか考えていたのですが、ひとつわかりやすい例を見つけたのでご紹介します。

いま、アメリカの大手携帯電話会社の元社長だった人の本の翻訳をしているのですが、その中に責任感の話がでてきます。以下、内容を要約します。

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私は出張でよくホテルを利用する機会があり、いつも朝は早く起きて部屋でルームサービスの朝食を頼み、メールをチェックしたりする。ある朝、ドアをノックする音が聞こえたので、開けてみると、満面の笑みをうかべたメイドが朝食を運んできたところだった。「おはよう。とても嬉しそうだね。どうしたの?」と聞くと、彼女は「ええ、どうやらいただいた課題をクリアできたようです」という。

思い当たるふしがなく、その理由を聞いてみた。すると彼女はこう答えた。「昨晩、モーニングサービスをご注文になりましたね」。たしかに。「ところが、その時間まではご指定になりませんでした。あわててお電話を何度かかけたのですが、お出になりませんでした。そこで、私は、前の日の朝食は何時ごろだったかと思って昨日の伝票をすべて調べました。また、フロントに電話をかけ、何時にモーニングコールを頼まれているかを聞きました。そしておそらく、この時間で間違いないのでは、と推測し、いまお届けしたのです」。

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このメイドさんが、モーニングサービスの時間がわからずに電話をかけたとき、彼はシャワーに入っていたのか、すでに寝ていて電話に出ませんでした。このことから、もしあとで彼女が責められても、「電話をしたのですが、お出になりませんでした」といえば、言い訳は立つし、責任は逃れられるでしょう。しかし、彼女は、さらに一歩、自分から主導権をとって動き、前の日の伝票や、モーニングコールの時間といった情報を収集して、自分で、彼が頼んだ時間を推測したのです。これが、責任感のある人の行動です。

何か問題が発生したとき、責任感のない人は、最低限、自分のできることはしますが、それ以上のことはせず、結果的にその状況のせいにしてしまいます。いっぽう、責任感のある人は、うまくいかない状況に屈せず、もう一歩踏み込んで行動を起こし、自分で結果を作り出すことができます。この一歩が踏み込めるかどうか、が責任感なのだと思います。

ちなみにこの感覚、電車でお年寄りに席を譲ろうかどうしようかと悩んだあげく、勇気を持って席を立つ感覚ととても似ているなと感じます。皆さんは、責任感をどう説明するでしょうか。

川村透

川村透

川村透かわむらとおる

川村透事務所 代表

「ものの見方を変える」という視点の転換を切り口に、モチベーションアップ、チームビルディング、リーダーシップ、コミュニケーション、問題解決など様々なテーマで講演、研修を行う。自身の体験と多くの研修・講演…

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