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2012年12月25日

このままでは流行は生まれない?!

 自民党の圧勝で終わった2012年の衆議院総選挙。スケジュールをやりくりして投票会場に駆けつけてみると、午前中にもかかわらず長蛇の列。ですが、その列に20代と思える人がたった一人も見つかりません。では、なぜ20代の若い世代の人達を見かけなかったのでしょうか?後で見てみると、投票率は戦後最低だったことがわかり、若い人達が投票に行かなかったということでしょう。

 今、若者達を取り巻く環境は厳しく、雇用、年金、何をとっても優遇されることがなく、それが、政権が変わっても何も変わるとは思えないという諦めムードが蔓延。ちょうどその夜、選挙速報を見ていると、学生時代にJJモデルをしていた親友から電話があって、「ウチの娘も選挙に行かないので、家にいるなら行きなさい!と追い立てると、どうせ誰がなっても一緒だし・・・」と一言。来春、経済学部を卒業する娘のことを嘆いていましたが、TVの選挙番組の下に流れるネットのコメントにも、同様の文章がいくつも見つかりました。

 前出の親友が選挙の前の週末に、クリスマスシーズンだから洋服を買って欲しいと言われて、娘と一緒に出掛けたところ、次から次へと持ってくるものが、まぁ安っぽいペラペラのワンピース。せめて靴ぐらいはいいものを一足買いなさいと言うと「UGGのブーツに憧れるけど、似たようなのでコスパのいいもので充分」となんとも地味な答えが返って来て、20代の頃、六本木をジョルダンの靴で闊歩した彼女は、せっかく買ってあげようと意気込んでいたのに「信じられない…」とがっかりして帰って来たそう。

ですが私は、就職への不安、将来の不安を抱えたまともな22才の女のコにとって、クリスマスのデート服に、たとえ親のお財布からでも、お金をかけている場合ではないという「気分」がよくわかります。

結局、クリスマスイヴは外食せず、母親を担ぎ出してBFを家に呼んでの鍋パーティに決まったので、美容院にセットに行くこともなく自分でアレンジ。ビューティにもお金は使わず、ドラッグストアでネイルシールを購入しただけ、の「使わない」お嬢さんがクリスマスパーティの主役なのです。

 これでは、20代が読む赤文字のファッション誌が売り上げを下げ続けるのも納得。若い世代が絶望する時代に、ファッションやビューティの流行が出てくるはずがありません。ファッションもビューティもギョーカイ人が仕掛けてつくるものではなく、20代の女のコ達の日常の生活の中から生まれてくるものだからです。

この5年位で20代の女のコ達から生まれた流行で目立ったのは、キャバクラ嬢から生まれたビューティくらい。盛りヘアに盛りまつ毛に盛りネイル、確かに目立つものではありましたが、普通の女の子達から大ヒットした流行ではありません。このままでは、ますます「元気な若者」という言葉はどこにも聞かれなくなって、お金も無ければ希望も無い、夢が持てない若い世代の女のコ達が消費する訳もなく、ファッションにビューティになかなか流行が生まれなくなります。

なんとか若者が夢を持てる社会になってほしいものです。

中村浩子

中村浩子

中村浩子なかむらひろこ

株式会社ヴィーナスプロジェクト 代表取締役社長

大学在学中より、光文社「JJ」において、ファッション・ライフスタイル担当の特派記者となる。その後、小学館「CanCam」を経て、光文社「VERY」、「姉VERY」、「STORY」の創刊記者を務める。オ…

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