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2009年04月10日

エコ・リュクスな生き方とは?

 よりサステナブルな生き方が必要とされているいま、新たなライフスタイルを考える上で必要なことは、「エコ・リュクス」な生き方、スピリットの実現にあると私は考えています。そもそも「エコ・リュクス」とは何か? ラグジュアリーライフとエコ・ライフ、そのバランスや調和を考えた新たなライフスタイルが「エコ・リュクス」な生き方です。そして、この「エコ・リュクス」な生き方を選択する女性達が少しずつ増えており、新しい消費の形を作りだしています。今回はこの「エコ・リュクス」な生き方について書いていきたいと思います。

 いまでこそ一般名詞的に使われ始めている言葉ですが、そもそもは、雑誌「マリ・クレール」で2005年に制作した記事にそのルーツがあります。

 ラグジュアリーブランドの先頭に立つルイ・ヴィトンが、その年、真正面から環境対策に身を乗り出すという宣言をしたことにちなんで、特集「エコ・リュクス物語」を制作しました。全面空輸に頼っていた輸送を、その年から半分は船便にすることでCO2の排出削減に貢献するというアクション、そして企業全体の取り組みとして環境対策に本格的に乗り出すという姿勢、そうしたエコ・メッセージが話題のラグジュアリーブランドから発進されたこと、これはまさに目からウロコ的驚きに近かったのです。

 これからは、ラグジュアリー世界はエコの要素を取り込むことが重要となるだろうし、エコの世界もラグジュアリ−的な楽しみを付加させていくことで進化するだろう!

 いままでのエコの世界は一部の熱心な人々により誠実に受け継がれ、「100%でないとエコではない」といった厳密で狭義な考えが主流でしたが、「エコ・リュクス」の価値観の中では、エコ&ラグジュアリーの多様なバランスを吸収してより広義にエコを解釈する考えを主体としています。当時、もったいない思想で知られるワンガリ・マータイさんに取材したとき、この「エコ・リュクス」について意見を求めると、「それは素晴らしい考えです。いまある生活を止めることはできません。エコと既存のライフスタイルのバランスをとる考えには賛成です!」と太鼓判を押して下さいました。

 それから4年。「エコ・リュクス」な生き方を追求する進化形の女性たちは、まず消費の動機が進化しています。見た目の美しさ、価格の手頃さといった表面的な選別基準だけでなく、「オーガニック素材を用いている」「売り上げの一部をチャリティしている」「製造過程が環境にやさしい」など、商品の中身の美しさにも着目してショッピングします。この消費は、未来の地球に向けての正しい投資、とも解釈できます。

 朝、オーガニックな素材を用いたスキンケアシリーズで手入れし、メイクは「売り上げの一部をチャリティ」しているブランドのものを愛用。ファッションは、ラグジュアリーブランドものとファストブランドものとをミックスコーディネートするが、とりわけファストブランドものに関しては、製造過程に児童労働などの問題が生じていないか、必ずチェックしたうえで選びとる。外食や食料のショッピングは、極力、自然派をうたうレストラン、カフェ、スーパーマーケットを選び、自動車はハイブリッドに乗り換えると同時に自転車も愛用。CO2排出削減のあらゆる細かい努力を惜しまず、楽しくおしゃれに挑んでいる。

 CO2の数字の上下に着目するだけでなく、エコをおしゃれに楽しむ、文化次元で楽しむ、そんな豊かなスピリットも「エコ・リュクス」を考えるうえでは重要なのです。

 元来、日本は、エコ・リュクス大国だともいえます。伝統文化を見ると、建築にせよ茶道の文化にせよ、根底にある自然観はすべて、自然を愛で、自然と溶け合い、そこに美しさや崇高さを見出す視点を含んでいます。侘び寂びの贅沢は、まさにエコ・リュクスのスピリットそのものといえるのです。

 「地球環境問題」というキーワードが作り出す新たな価値観。これからどんな変化を見せていくのか、注目し続けていきたいと思います。

生駒芳子

生駒芳子

生駒芳子いこまよしこ

ファッション・ジャーナリスト

VOGUE、ELLEを経て、2004年よりmarie claireの編集長を務める。2008年10月に退任。その後ファッション雑誌の編集長経験を生かして、ラグジュアリー・ファッションからエコライフ、社…

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