2009年06月25日

教育現場  生徒同士の喧嘩で介入的援助  小学生高学年の事例紹介

教育の現場では、複数の生徒たちが喧嘩をすることがあります。そんなとき、生徒の自主性を活かし、問題解決能力を向上させるために、教師にはどのような対応が適切なのでしょうか。今回は、教師学(ゴードンメソッド)で学ぶ、介入的援助の方法を実践した教師の体験をご紹介しましょう。

学年も違い、知らない子同士でグループを作り、3泊4日の共同生活を行っていました。最終日、まもなくキャンプファイヤーが始まろうとしているときのことです。
同グループで3人の生徒が喧嘩をしていると知らせが入り、急いで行って見ると、T君が拳を振り上げR君とS君を追い掛け回しています。

T君  「もう! 俺は我慢できねぇ!!」 (拳を上げている)
R君  「俺だって!! お前はいっつもなんにもしないから、俺たちがみんな
      やってきたんだ!」
S君  「俺は一番年上だから我慢してたけど、お前がいるからいっつも大変
      なんだ!」
教師  「私は誰が悪いとか言いに来たんじゃないのよ。このままだと、3日間
     のキャンプの一番楽しいキャンプファイヤーに、3人とも出られなくなる
     と思うと残念なの。
     それぞれに言い分があるようね。順番に聞きたいわ。約束は一つ。
     誰かが話しているときは、最後まで聞く。約束できる? 約束できる
     なら始めたいわ」
3人  (うなずく)
教師  「では、T君」
T君  「俺は二人にずっと命令されてきた。イヤだったけど、言われたことを
     やってきた」
教師  「そうか、命令されてイヤだと思っても、我慢していたと言うんだね」
R君  「でも、鍋洗ってくれる?って聞いたら、いいよって言ったから頼んだんだよ」
教師  「T君に鍋洗いをしてくれるかって聞いたら、いいと言ったから納得してる
     と思ったんだね」
R君  「そうだよ。 聞いたら、いいって言ったじゃん」
T君  「イヤだけど いいって言ったんだ」
教師  「本当はいやだったけど、でも我慢してやったんだね」
T君  「そうだよ。 家でもそうなんだ。いつも僕は我慢してるんだ。ここまで来て、
     また我慢はイヤだ」
教師  「そうか。家でも我慢して、キャンプでも我慢して、いつも我慢にうんざり
     だったんだね」
S君  「僕は班長だから最後の責任は僕になるから、T君だけでなく、S君にも
      仕事を頼んでた」
教師  「班長の責任を感じて、二人に平均に仕事を頼んでいたのね。」
S君  「そうだよ」
T君  「だって、威張ってたじゃん」
教師  「威張ってるようでイヤだったんだね」
 (ここで キャンプファイヤー開始の知らせが入る)
教師  「もっと話を聞きたいけど、ファイヤーに私は参加したい。 君たちは?」
3人  「行きたいです」
教師  「よし! じゃあ行こう!」

〔教師の感想〕3人の気持ちを聞いているうちに、3人は、お互いががどんな気持ちだったのかがわかったようで、興奮は静まり、落ち着いて話せるようになってきました。
「仲直りしなさい」の言葉は必要ないと思ったので、そのままファイヤーに誘いました。
3人は楽しそうにキャンプファイヤーの時間を過ごしていました。今まで、生徒同士の喧嘩では、仲直りをさせることばかりに躍起になっていたのが間違いだったと実感しました。

この事例を読んだ皆様は何をお感じになりますか? 教師の対応が、これでは中途半端だと感じる方もいらっしゃると思います。しかし、実際には、生徒の喧嘩を解決する、最も適した人物は、本人たちです。そのためには、それぞれが何を考え、どう感じているかを、お互いが知ることが大事なことなのです。

この教師は「問題所有の原則(問題は問題所有者本人が解決する)」の基本に忠実な対応をしています。『能動的な聞き方』でそれぞれの生徒の気持ちを明確にし、教師自身の気持ちは『わたしメッセージ』で率直に語っています。

この事例で、お互いの気持ちが分かり合えば、介入者が仲直りをさせなくても、本人同士で仲直りが出来ることがおわかりでしょう。それもまた、生徒たちの自主性を伸ばすことに繋がるのではないでしょうか。