2008年08月25日

子どもが悩みを表現するサインとは

子どもは悩みを抱えたときにサインを出していると言われています。講座を受けに来られた方に「サインってなんだかわかりますか?」と伺うと、多くの方が口をつぐんでしまいます。でもそれは当然のこと。だって、サインってとてもわかりにくいものなのです。

親業訓練講座の第1回目はサインをキャッチするための、親のアンテナを磨く時間です。今回は、サインについてお伝えします。あなたのアンテナ磨きのヒントにして下さい。

☆サインってどんなもの?
残念ながら、この行動こそサインだ、といえる決まりのようなものはありません。
親は、子どもの様子等から『何かあったのかな』『へんだなあ』などと感じることがありますね。
親業ではそれらの行動を、子どもが悩みを表現する「サイン」と考えています。
このコラムでこれまでにご紹介した事例では、コラム(3)の「疲れた」と言って横になっている、
(4)の「損ばかりしている」と泣きべそをかいている、などがそれに当たります。
このように言葉で表現しているものは比較的わかりやすいサインですね。

今回ご紹介するのは、アンテナを磨いた結果、わかりにくくて見落としがちなサインをキャッチ出来た事例です。

いつもマンガしか読まない小学4年の子どもが、部屋の隅で珍しく「本」を読んでいます。
私はそれを見たとき『やっとマンガから卒業した』と思って嬉しくなりました。でも講座で、サインは親がイヤだと感じない行動に含まれていることを学んだので、もう一度子どもの様子を見てみることにしました。子どもは本を読んではいるのですが、夢中になっているようではありません。それどころか、つまらなそうに暗い顔をしています。『あ、もしかしてこれってサイン?』とピンときたので能動的な聞き方をしてみました。

母 その本つまらなそうね
子 ちがう・・・・・
母 あ、本がつまらないわけじゃないのね
子 みんな遊べないんだって・・・・・
母 ああ、遊ぶお友達がいないからつまらないのか
子 うん・・・・・・・・・

(母親の感想)
サインを見落としていたら「本を読んでえらいね」と誉めていたと思います。そんなことで誉められても、子どもは嬉しくなかったでしょう。だって、遊ぶ友達がいない寂しさに私が気づかないことをはっきり知ってしまうのですからね。表面的なことにとらわれて内面を見ようとしない親を、子どもはどう感じるのでしょうか。サインをキャッチするアンテナを磨いておいて本当に良かったです!


親子の気持ちのすれ違いは案外些細なことから始まるのかもしれません。「疲れた」「泣きべそ」「本を読む」どれもみな大きな悩みではないかもしれません。しかし、小さなサインの見落としが、いずれ重大な悩みに繋がってしまうのが現実です。

これまでにこのコラム(3)(4)でご紹介してきた『能動的な聞き方』は、親が子どものサインをキャッチしたときにこそ出来る方法です。それをすることで、子どもが抱えた悩みに子ども自身が向き合い、自分で解決する『考える力』を伸ばすことに繋がります。上の事例の子は、この会話の後、明るい顔になり、公園に遊びに行ったそうですよ。

考える子どもが育つためには、親のアンテナを磨くことが何よりも大事です。子どもが赤ちゃんの頃、
親は子どものサインを受け取るために無意識のうちにアンテナを動かしています。アンテナは錆びずにしっかり機能しています。ところが、子どもがおしゃべりをするようになると、子どもの求めていることがわかりやすくなるので、アンテナを動かす必要がなくなります。日々自然にアンテナに錆びが発生します。そして、肝心なときに錆びが原因で、機能しないアンテナになってしまうのです。

このコラムがあなたのアンテナ磨きのヒントになることを願っています。