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コラム 教育

2010年07月20日

夏休みの宝物

 「先生、夏休みを利用して埼玉から実家のある岡山県までママチャリで帰ってきました。道中大変でしたけれど、自分に自信がつきました。」今から三年前当時大学二年生だった私の教え子が、夏休みに何か思い出を残そうと計画して作った記録です。
日頃から、「大学時代に、何かこれだけは人に負けないものや思い出を残してみてはどうですか。」と、学生に話していたことから、この学生は、夏休みを利用してこの計画を実行したようです。
彼女は、就職試験に、その体験談をどうどうと話し、見事合格して現在、テレビ局のデレクターとして活躍しています。彼女にとって、この夏休みの体験は、宝物になりました。

 マウンテンバイクではなくママチャリで、埼玉から岡山まで行くということは、本当に大変なことですが、彼女はママチャリを選んで実行したのです。
道中自転車がパンクして困っていたら、通りすがりのトラックの運転手さんに助けられ無事にまた走行をすることができるようになったり、夜は見ず知らずの優しい方々のお宅に泊めて頂き、お風呂までいただくなど人に助けられながら無事に実家のある岡山に帰り着くことができました。

自転車での旅は、本当に大変なことであったようですが、道中で出会った心優しい人々に助けられ、人の情けや思いやり、心の温もりのありがたさと大切さを身をもって感じ、彼女の心も体もひと回り大きく成長させてくれたようです。そして物事をやり遂げた自信が、就職という大きなハードルをなんなく飛び越える切っ掛けにもなりました。

 夏休みは、大きな可能性と発見を秘めた日々です。大人も子どもも忙しい毎日から離れて大自然の中にゆっくりと身をゆだねるのもよし、普段読みたくても読めなかった本の世界に身を置くのもよし、いつもの自分を大きく解放してエネルギーを蓄える日々にしてみてはいかがでしょうか。学びは決して机上のものばかりではありません。この自然の中で、命あるあらゆるものから学ぶことはたくさんあります。その学びは、机上では得られない感性の教育でもあります。

 子どもは、深いところにそれぞれの掛け替えのない「たから」をしまいこんでいます。それは、子どもの傍にいる大人がまともに向き合って、深いところで出会いが成り立つときに、はじめて引き出せるものでもあります。
教育の場は、教室だけではありません。夏の行事や海や山や、人々の中に学びがあります。その中で自由に子供たちが楽しみながらそれぞれにとって掛け替えのない「たから」を見つけ、育んでいける機会を作ってあげるのも私たち大人の役目ではないかと思います。

「夏休みの宝物はなんですか?」の問いに、笑顔で元気に思い出を語ることができる子どもたちが多く存在することを、願ってやみません。

春日美奈子

春日美奈子

春日美奈子かすがみなこ

フリージャーナリスト

國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。

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