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コラム 教育

2012年06月20日

時代の渦の中で

 蛙の合唱が、あちこちの田んぼから聞こえてくる季節となりました。開発が進み田畑が少なくなった場所では、蛙の合唱は遠い懐かしい記憶の音となっていることでしょう。
日本は、春、夏、秋、冬というように四季折々の風情を見せてくれる美しい国でもあります。昔から変わることなく、自然は私たちに自然との共存の大切さと素晴らしさを教えてくれています。いがみ合い争うことを、決して望んではいません。大自然の中で私たち人間はちっぽけな存在でもあります。だからこそ共に支え合い思い合いながら和をもって生きていくことを願っているように思います。

 今の世の中は、生存競争が激しくなり、社会はどんどん余裕がなくなり、力のある者が、お金や権力の力を持って人生をそれなりに楽しみ、色々な経験をすることができます。それに対して、力のない者は、競争社会の中で、どんどん切り捨てられ、なかには明日の生活もままならない人もいるのが現実です。
 勝ち組、負け組などという言葉を、最近目にしたり耳にしたりすることがありますが、何をもって負け組というのでしょうか。それはちっぽけな人間が判断できることなのでしょうか。
 勝つということの価値観、負けるということの価値観が、人それぞれ違うのですから、それはその本人自身がどう思うかであって、他人が言うべきことではないように思います。
 私は人間には”上下”などないと思っています。勝ち組も負け組もありません。要は、本人自身が、満足して生きられればいいわけで、人がどう判断しようと、本人が幸せであればそれでいいと思います。自分の生き方さえもはっきりしていない人間が多い社会の中で、他人のことをどうこう言う資格はないのではないでしょうか。

 狭い考えが人間を小さくし、そして社会をも小さく、また生きづらくしているように思います。それぞれが自分というものをしっかりと見つめて、自分に自信をもって生きること、そう生きられるようにそれぞれが頑張る時にきているのではないでしょうか。
 人は、それぞれ生まれも育ちも違います。それぞれの土俵で、精一杯、自分の花を悔いのないように咲かせればいいのです。
誰のまねでもなく、自分らしい花を咲かせること。
名もない花も、自信をもった花は、凛としてとても美しいものです。色々な花をもつ人間がいるのが社会でもあります。それぞれを認め合い、人と人との和をつなぐことが、とても大切に思います。
一人一人の存在の大きさ、命の尊さを、今、根本から問い直されているように思います。
 
 蛙の合唱は、希薄な世を嘆く鳴き声ではなく、やがてたわわに実る稲穂への希望の声として、いつの世も多くの人の耳に心地よい泣き声として響くことを願ってやみません。

今、皆さんの耳には、蛙たちからどんなメッセージが聞こえていますか。

春日美奈子

春日美奈子

春日美奈子かすがみなこ

フリージャーナリスト

國學院大學大学院法律研究科法律学専攻修士課程修了。報道畑25年の経験を生かし、少年院や教護院(現・児童自立支援施設)での実習を通し、常に現場の”今”や”生の声”を大切にして、少年問題に取り組んでいる。

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