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2016年02月25日

子どもたちに教えたい「ネット社会の未来」について①

 「ネットは怖い」、「うちの子にはスマホを持たせません」、取材先や講演先でしばしば耳にする言葉です。確かにネットには多くの危険がありますし、安易な考えで子どもにスマホを使わせるのはよくありません。

 一方で、ネットやスマホなどのIT環境は私のたちの生活に欠かせないものとなっています。特に「仕事」という点で考えたとき、多くの職業ではパソコンスキルが求められます。

 パソコン以外でも、スマホやタブレット端末を利用する動きが広がっています。たとえば徳島県上勝町では、高齢者の方がタブレットを使ってあらたな仕事に取り組んでいるのです。

 人口約1,500人の上勝町は、自然豊かな、別の言い方をすると典型的な過疎の町です。高齢化、人口減少、地場産業の衰退など、今の日本が抱える問題が凝縮された地域と言っていいでしょう。そんな町で、高齢者の方が取り組んでいる仕事は「葉っぱビジネス」と言われています。

 山には、きれいな紅葉やみずみずしい葉がたくさんあります。その「葉っぱ」が、高級料亭などで出される各種の料理に「彩り」を添えます。要は、料理をよりおいしく、美しく見せるための飾りのようなもの。上勝町の高齢者の方たちは、山の中でこの葉っぱを取り、出荷しているのです。

 あくまでも「仕事」ですから、発注や受注、売り上げ計算などの作業が生じます。「赤い葉っぱを30枚」とか、「黄色い葉っぱを至急出荷してほしい」とか、そういう注文に応じて作業する必要があります。一方で、自然相手の仕事ですから、注文どおりの葉っぱが見つからないといった事態も起こりえます。

 そこで活用されているのが、タブレットです。70代、80代のおばあちゃんたちが首からタブレット端末を吊るし、画面に表示される注文を読み取ったり、採取した葉っぱの写真を送ったりしているのです。

 田舎のおばあちゃんがタブレット?!と驚かれるかもしれませんが、実はタブレットのような機械は「感覚的に使いやすい」と言われています。画面を指で押したり、さわったりするだけで動くので、基本的な操作さえ覚えれば幼児や高齢者でも十分使いこなせるのです。

 こんなふうにタブレットを活用することで、「葉っぱビジネス」はスピード化や効率化、多様な市場展開が可能となりました。山で葉っぱを取る方の中には、数百万円の年収を得る人もいるほどです。

 上勝町の「葉っぱビジネス」は、ネットの有効活用という点だけでなく、これからの仕事像や職業選択に多くのヒントを与えているように思います。とりわけ、10年後、20年後に社会を担っていく子どもたちにぜひ知ってほしいものがあります。

 ひとつは、ネット社会がもたらすメリットをどう生かすか、という点です。今の子どもたちは、スマホやタブレットを自在に扱います。反面、ゲームやSNS、動画視聴などに時間を費やし、勉強など本来すべきことがおろそかになっている面もあります。

 せっかくの便利な機械を有効利用する、ネットをよりよく使って自分の未来を創造する、こちらに目を向けてほしいのです。

石川結貴

石川結貴

石川結貴いしかわゆうき

ジャーナリスト

家族・教育問題、青少年のインターネット利用、児童虐待などをテーマに取材。豊富な取材実績と現場感覚をもとに、多数の話題作を発表している。 出版のみならず、専門家コメンテーターとしてのテレビ出演、全国各…

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