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コラム 人権・福祉

2010年05月20日

戦場に生きる子供たちの楽しみ/アフガニスタン・シャフィークさん一家の休日

混乱の続くアフガニスタン。首都カブールに住むシャフィークさん一家は、両親と子供たち6人が一つ屋根の下に暮らす。タクシー運転手の父親は、1ヶ月の給料が日本円で約6000円。子供たちを養っていくことに日々困窮を極めていた。母親は自宅で家事をこなし、子供たちは日中、学校に通う。アフガニスタンでは小・中学校、高校までは無料で授業を受けることができるゆえ、学費を払わなくても学校に通学できる。ただ鞄、教科書、ペン、衣類などは各家庭で用意しなければならず、子供たちは従兄弟のお古を着て元気よく登校していた。生活拠点である住居は、1ヶ月の家賃2万円の滞納が続き、大家さんから追い出されてしまっていた。そのため、敷地内にある小さな仮の家屋で暮らしている。生活の厳しさを理解する子供たちは積極的に家事を手伝い、幼子たちの面倒を見る。いつも兄弟6人がけんかをしながらも力をあわせていた。

アフガニスタンの過酷な環境に立たされる子供たち。厳しき日々の中に生きながらも、一週間に一度、外すことのできない”楽しみ”が訪れる。

それはイスラム教の休日である金曜日に、アイスクリームを食べること。自宅周辺に移動式アイスクリーム屋さんが、金曜日にやってくる。両親から5円のおこづかいをもらい、アイスクリーム屋からながれる音楽を耳にすると、子供たちは一斉に駆け出していく。アイスボックスを取り囲み、オレンジ色のアイスを一人一個、購入する。価格は一つ5円。冷たく甘いオレンジアイスにかぶりつく子供たちの表情は満面の笑みにあふれていた。このアイスクリームが子供たちの最高の喜びであった。

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シャフィークさん一家の休日は、午前中にイスラム礼拝におもむき、午後に子供たちがアイスクリームを楽しむ。夕方に自宅の部屋で父親と歌を歌い、日が沈んでいく。こうした休日が毎週繰り返されていた。アフガニスタンでは家族がいつも一緒にいることが当たり前なのだとシャフィークさんは柔らかい笑顔で教えてくれた。アフガニスタンには清貧の時間がながれていた。

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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