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コラム 人権・福祉

2014年10月20日

“食”というコミュニケーション

 世界各国に足を向けてみると食事のありがたみを強烈に感じます。特に情勢が不安定な地域では、食材そのものが手に入りづらいことが多く、食料を手にすることに全労力を費やすことが何度もありました。そうした環境から日本に帰国したときに驚かされることは、食事をどこでも手にすることができること以上に、食べる物を選ぶことができるということに衝撃をうけます。レストラン、コンビニ、そして自宅の冷蔵庫…どれをとっても食事の無限な喜びを感じることがいまだにあります。

 

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 紛争地でも安定している地域でも一日一回だけでいい、食事をする時間は大切な笑顔の時間となっていました。家族、友人、恋人たち…それぞれが食卓を囲むことで無意識のうちに”食”の伝統を継承していることに気づかされます。

 

 スマトラ沖地震と津波で被害が拡大したインドネシアやアンダマン諸島に浮かぶ島々では、家屋や財産を失った多くの家族が避難所での生活を余儀なくされていました。そして避難生活のなかでも地域の方々がお互いに寄り添い、食料を集め、調理し、限られた食事を口にしていました。いかなる環境でも皆で一緒に食事をいただく。そこでは”食”への丁寧な想いがにじみでていました。

 

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 イスラム教国であるパキスタンでは、子供たちが両親の仕事をお手伝いする姿をよく目にします。食堂や屋台で盛りつけや仕込みなどをまかなう子供たちの料理にお客が列をなす。食という文化に焦点を当ててみると、その国の表情やお国柄が伝わってきます。

 

 中国では、”食”に対するダイナミックで奥深い想い入れにいたるところで触れることができます。食材、薬味、味付け…どれをとっても世界に中華料理を轟かせている美味しさと自信がみなぎっています。

 

 世界を巡っていくと各国がもつ”食”からのコミュニケーションが入り口となり、取材対象につながっていくことが何度もありました。人が暮らす上での基盤である衣・食・住にはこれからもファインダーが惹付けられていくことは間違いありません。いかなる食事でも必ずそこで必要とされる理由があることを痛感しています。好き嫌いなく興味引かれる料理を積極的に楽しんでいきたいです。

 

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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