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2022年05月11日

ウクライナ戦争・ロシア軍大量虐殺(ジェノサイド)の証跡

激動のウクライナ情勢。2月24日に発生したロシア軍によるウクライナ軍事侵攻。2ヶ月半以上戦闘が連鎖する中で、ウクライナのゼレンスキー大統領は2014年のウクライナ内戦時からロシアが武力で実効支配下に置いている南部クリミアの奪還を目指すことを発表しました。ロシア軍による南東部軍事回廊構築の戦術に対し、ウクライナ軍は欧米諸国からの軍事兵器支援により戦闘能力が高揚。一部地域でロシア軍を撃退する進撃が確認されています。ロシアのプーチン大統領はウクライナと周辺国の武装連帯に対して核兵器使用で対抗することを繰り返し示唆しており、戦況次第では最後の一線を超えてくる危険が高まっています。

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プーチン大統領は開戦当時から核兵器保有を盾にロシア人が多く住むウクライナ東部から南部地域の軍事回廊構築に兵力を集中させてきました。起点はウクライナ東部ロシア国境のドンバス地方から南東部アゾフ海沿岸の港湾都市マリウポリ、黒海制海権の軍事拠点南部クリミア。三点を陸路で結び南西部モルドバ国境・沿ドニエストル共和国(非国家承認)まで延伸の狙いが指摘されています。黒海の制海権も同時に掌握することができる南東部の軍事回廊はロシア軍にとって最大の制圧ターゲットであります。

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戦闘地域が流動的に広がりを見せる中、ロシア軍による残虐な大量虐殺(ジェノサイド)が首都キーウ郊外のイルピンやブチャ、南東部マリウポリで確認されました。このジェノサイドへの関与が疑われるのがロシアの民間軍事会社ワグネル。ワグネルとは戦闘専門の傭兵部隊を編成し前線に投入する戦争ビジネス会社。運営に携わるのはプーチン大統領の側近プリゴジン氏。これまで中東のシリアや北アフリカのリビアなど世界の紛争地に関与。ウクライナには約8000人の傭兵を派遣しており、首都キーウ郊外のブチャでの大量虐殺に関与した疑惑が高まっています。同時にウクライナ軍の攻撃でワグネルの傭兵3000人以上が殺害された情報も浮上しています。

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ウクライナでの戦闘を一時的に休止させる停戦協議や人道避難回廊設置案は繰り返し反故にされてきました。今後軍事支援を受けるウクライナ軍によるロシア軍撃退戦術が拡大すると、プーチン大統領は取り返しのつかない核攻撃に切り込む現実味が高まっています。世界各国の仲介者が両国の架け橋となり虐殺を止めるために奔走するもプーチン大統領は全て拒絶。ウクライナ戦争の恐怖を世界中に突きつけています。

渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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