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コラム 人権・福祉

2020年12月11日

2020年の世界情勢を振り返る

2020年は新型コロナウイルス感染拡大という不安と抑圧の1年でありました。当初、感染拡大の数値は現在に比べると決して高くありませんでしたが、未知なるウイルスとの遭遇に世界中が恐れおののき、見えない敵との共生か戦いか、医療の道筋を選ぶことに各国の国民性や思惑が際立ちました。同時に識者によるワクチンさえ安定供給されれば決して恐れるものではないというメッセージもあり、インフルエンザや風邪の扱いに重なる対処法で暮らしを引き戻すことができる希望を誰しもが信じてきました。

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こうしたコロナ下で世界情勢に目を向けると、ウイルス拡大が連鎖するにつれ、反比例するかのように世界発の国際情報が激減する事態に陥っていきました。各々の現場で取材そのものを進めることができない。国境をまたぐ移動ができない。こうした状況は今まで遭遇したことのない壁となり、いかなるメディアであっても世界の声をすくい上げることが困難を極めました。

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日本から近い香港では中国中央政府の香港行政介入を認める国家安全維持法が成立・施行されました。香港政府に反発する民主派の抗議デモはこの法律によって壊滅状態となり著名な民主派の指導者が次々と収監される事態にまで発展。抗議の声を上げることは不可能となり香港の一国二制度は崩壊、中国の管理下に置かれたことを認識させられました。アメリカでは強権トランプ大統領が大統領選挙で敗退。民主党のバイデン氏が新しいアメリカを牽引する勝利宣言を世界に発信。今後アメリカファーストではなく多様性の再生を進めていくことが想定されています。中東のシリアでは2011年の内戦勃発からすでに約10年が過ぎ去りました。国民の約半数が避難民状態となり、ロシアやトルコが軍事介入。シリアのアサド大統領は再興を果たし、その後ろ盾となったロシアは中東地域での軍事基盤を確保。中東が代理戦争や外交交渉に利用されていく構図が浮かび上がりました。アフリカやアジア一帯でも強権体制の崩壊と暫定政府の誕生、若者たちによる自由を求めるメッセージが駆け巡りました。新型コロナウイルス感染拡大によって限られた情報であっても市民の声をすくい上げることができる。2020年は破壊と再生の1年であったと感じています。

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渡部陽一

渡部陽一

渡部陽一わたなべよういち

戦場カメラマン

1972年9月1日、静岡県富士市生まれ。静岡県立富士高等学校 明治学院大学法学部卒業。戦争の悲劇とそこで生活する民の生きた声を体験し、世界の人々に伝えるジャーナリスト。 世界情勢の流れのその瞬間に現場…

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