2019年10月10日

市民デモの力

世界規模で反政府・自由を求めた市民デモが拡大しています。

香港では刑事事件容疑者の中国本土への移送を可能とする逃亡犯条例改正案に反発するデモが連鎖。香港政府に対する五大要求を掲げ徹底抗戦を続けています。インドネシアでは、権力監視団体の調査を規制する法改正に若者が反発。庶民派と呼ばれたジョコ大統領に対する抗議デモが続きました。中東のイラクでは、中央政府への汚職追及や生活基盤の回復を求め、大規模デモが各都市に広がり、100名以上の犠牲者を出す事態に陥りました。過激派イスラム国との戦闘やイスラム教宗派対立による混乱でライフラインを失った市民がデモという手段で最後の通牒を政府に突きつけました。

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 北アフリカのエジプトでは、憲法改正によって強権体制を固めたシーシ大統領に対する退陣デモが局地的に広がり、多数の拘束者が出ています。北東アフリカのスーダンでも、約30年間軍事政権を続けたバシール大統領が軍事クーデターによって失脚。その後の暫定政権の舵取りをめぐり軍関係者と市民の間で衝突が続きました。南米ベネズエラでは、マドゥロ政権による経済破綻をきっかけに反政府暴動が勃発し、多数の国民が隣国コロンビアへ越境避難する事態となっています。アメリカ合衆国でも、来年の大統領選挙を控えるトランプ大統領によるメキシコ国境地帯への断絶の壁建設に対する抗議運動が拡大。移民問題が集中砲火を受け、多数のアメリカ在住の不法移民者が拘束される状況が続いています。イギリス連邦のスコットランドでは連邦からの独立を目指した大規模デモが注目を集めました。

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 分断、差別、自由、宗教、経済。各国の指導者が掲げ続けたキーワードが具体的な要求となって市民運動に火を灯し続けています。各国が抱える問題を世界規模で情報拡散させることは、ライブ映像や最前線からの言葉によって強権者による抑圧を可視化。宗教や民族、国境という概念を超えた当たり前の自由を誰しもが、自分の手で掲げることができると確信しました。アナログと思われていたデモが持つ連帯の力は、極限まで合理化された社会を揺さぶることができると感触を捉えているようです。デモに訴える自由、そこから発生しうる偶発的な衝突の狭間を見極める必要がありそうです。

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